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文献詳細

雑誌文献

胃と腸43巻3号

2008年03月発行

文献概要

今月の主題 まれな食道良性腫瘍および腫瘍様病変 主題症例

食道黄色腫の2例

著者: 有馬美和子1 多田正弘1

所属機関: 1埼玉県立がんセンター消化器内科

ページ範囲:P.317 - P.320

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要旨 食道黄色腫(xanthoma)は極めてまれとされているが,筆者の経験では,内視鏡検査施行例中0.46%の頻度であった.食道xanthomaの典型例は,非常に微小な黄白色斑が多数集簇する,黄白色の領域として観察される.病理学的には,多数の泡沫細胞(foam cells)が線維化や慢性炎症を伴って粘膜固有層の上皮下乳頭内に充満し,乳頭の拡張が認められる.大きさは1~6mmほどと小さいものが多い.拡大観察すると,乳頭の配列に沿って集合する円形から不整形の微細な黄白色斑の集簇として観察され,表面には縮れた微細血管が観察される.圧倒的に男性に多く,食道癌や頭頸部癌を合併した症例がほとんどであった.病因は明らかになっていないが,様々な食道への刺激(飲酒や喫煙,放射線治療など)が要因となっていることが示唆された.

参考文献

1) Remmele W, Engelsing B. Lipid island of the esophagus, Case report. Endoscopy 16:240-241, 1984
2) Stolte M, Seifert E. Lipidinseln im Ösophagus. Leber Magen Darm 15:137-139, 1985(in German with English abstract)
3) Herrera-Goepfert R, Lizano-Sobero´n M, Garcia-Perales M. Verruciform xanthoma of the esophagus. Hum Pathol 34:814-815, 2003
4) Gencosmanoglu R, Sen-Oran E, Kurtkaya-Yapicier O, et al. Xanthelasmas of the upper gastrointestinal tract. J Gastroenterol 39:215-219, 2004
5) Takubo K. Xanthoma of the esophgus. In Pathology of the Esophagus, 2nd ed. Springer, Tokyo, Berlin, Heidelberg, New York, pp 119-120, 2007
6)有馬美和子,多田正弘.診断のプロセス[食道]色調・血管透見.丹羽寛文(監),長南明道,田尻久雄,田中信治(編).改訂版 内視鏡診断のプロセスと疾患別内視鏡像.日本メディカルセンター,pp 120-126, 2007
7)山口肇,中西幸治.食道脂腺.「胃と腸」編集委員会(編).胃と腸アトラスI.医学書院,pp 2-3, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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