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文献詳細

雑誌文献

胃と腸43巻3号

2008年03月発行

今月の主題 まれな食道良性腫瘍および腫瘍様病変

主題症例

結核性縦隔リンパ節炎の食道穿破による食道結核の1例

著者: 高木靖寛1 八尾建史1 菊池陽介1 松井敏幸1 大重要人2 原岡誠司2 岩下明徳2

所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器科 2福岡大学筑紫病院病理部

ページ範囲:P.355 - P.360

文献概要

要旨 患者は30歳台,男性.嚥下時胸痛と嚥下困難で他院を受診,上部消化管内視鏡検査で中部食道に粘膜下腫瘍様の隆起性病変を指摘され当科紹介受診となった.食道X線検査では気管分岐部直下Mt前壁に管外圧排による粘膜下腫瘍様の隆起がみられ,表面には潰瘍を形成していた.潰瘍形態に不整はなく,周堤様の辺縁隆起も表面平滑であり正常上皮に覆われ,さらに潰瘍面には瘻孔開口部が認められた.胸部CT,EUSでは気管分岐部近傍のリンパ節は腫大し,食道と隣接していた.生検病理組織では類上皮細胞肉芽腫と多角巨細胞が認められた.結核菌や乾酪性肉芽腫は認めなかったが,ツベルクリン反応は中等度陽性であり各種画像所見から食道結核と診断した.抗結核剤による治療で症状は速やかに改善し経過良好であった.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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