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文献詳細

雑誌文献

胃と腸43巻3号

2008年03月発行

文献概要

症例

虫垂開口部に粘膜下腫瘍様形態を呈した虫垂結石の1例

著者: 梶雅子1 六車直樹1 木村哲夫1 板垣達三1 竹内尚1 宮本弘志1 岡久稔也1 岡村誠介1 清水一郎1 高山哲治1 西岡将規2 島田光生2

所属機関: 1徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部消化器内科学分野 2徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部消化器・移植外科学分野

ページ範囲:P.377 - P.381

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要旨 患者は57歳,男性.自己免疫性膵炎精査中に腹部骨盤部CTで回盲部に腫瘤状の石灰化病変を指摘された.注腸X線検査では盲腸に大きさ2cm程度の表面平滑な隆起性病変が描出され,大腸内視鏡検査では糞便物が貯留した陥凹面を伴う粘膜下腫瘍様隆起を認めた.超音波内視鏡検査では同部位に強い音響陰影を認め,虫垂結石と診断した.腹腔鏡下盲腸切除術が施行され,手術標本では虫垂根部は盲腸内腔側に反転し,内部に3cm大の結石を認めた.粘膜下腫瘍様形態を呈する虫垂結石は非常にまれであるが,盲腸の隆起性病変の鑑別診断として考慮する必要があると考えられた.

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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