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特集 小腸疾患2008 序説
小腸疾患診療の現状と展望
著者: 飯田三雄1
所属機関: 1九州大学大学院医学研究院病態機能内科学
ページ範囲:P.394 - P.395
文献購入ページに移動カプセル内視鏡とダブルバルーン内視鏡の開発は小腸疾患の診断に大きな変革をもたらした.つまり,上述の小腸内視鏡検査が施行可能となった2001年以降と2000年以前で小腸疾患の診断手順は大きく変化した.すなわち,2000年以前においては小腸X線検査が小腸疾患のスクリーニングと精密検査の両面で主役を務めていた.小腸X線検査法には経口法と経ゾンデ法の2つの方法が用いられているが,それぞれ長所と短所を有する.つまり,経口法は,患者に与える苦痛が少なく簡便であるが,充満像と圧迫像しか撮影できない.しかし,バリウムの先端を丹念に圧迫・観察していくことによって大部分の病変はスクリーニング可能となる.一方,経ゾンデ法は,二重造影像によって微細病変の描出には優れているが,ゾンデを挿入するため患者に与える苦痛は大きい.したがって,日常診療においては,小腸病変のスクリーニングを目的とする場合には経口法がまず選択されてきたのに対し,小腸疾患の存在が強く疑われる場合や,他検査で既に病変の存在が指摘されている場合には,経ゾンデ法が優先されてきた.
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