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文献詳細

雑誌文献

胃と腸43巻4号

2008年04月発行

文献概要

特集 小腸疾患2008 総論 8.小腸炎症性疾患の病理学的鑑別診断

小腸炎症性疾患の病理学的鑑別診断

著者: 原岡誠司1 岩下明徳1

所属機関: 1福岡大学筑紫病院病理部

ページ範囲:P.489 - P.497

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要旨 代表的な小腸炎症性疾患であるCrohn病,虚血性小腸炎(病変),腸結核,腸管(型)Behcet病,単純性潰瘍の特徴的肉眼像および組織像,主な病理学的鑑別点について概説した.Crohn病は特徴ある縦走潰瘍,敷石像,非乾酪性類上皮細胞肉芽腫,全層性炎症,裂溝などのうち前3者が比較的特異性が高く,病理診断にはこの3者の組み合わせが大切である.虚血性小腸炎は多岐にわたる成因が考えられるため,急性期,慢性期の特徴ある病理所見に加えて臨床情報が重要となってくる.腸結核は回盲部に好発する輪状潰瘍が特徴で,乾酪性肉芽腫ないしは結核菌を証明することで確定診断に至る.腸管(型)Behcet病および単純性潰瘍は回盲弁上に主潰瘍が好発し,多くは回腸末端にも娘潰瘍が併発する.小腸炎症性疾患の鑑別診断に際しては,特徴的病理形態像の把握とともに臨床情報も加えて総合的に判断することが大切である.

参考文献

1)岩下明徳.病理所見と病理診断.武藤徹一郎,八尾恒良,名川弘一,他(編).炎症性腸疾患―潰瘍性大腸炎とCrohn病のすべて.医学書院,pp 87-98, 1999
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13)渡辺勇,岡田基,桑原紀之,他.腸管型Behçet病といわゆるSimple ulcer―組織学的診断における問題点.病理と臨床 2:233-244, 1984

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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