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文献詳細

雑誌文献

胃と腸43巻4号

2008年04月発行

文献概要

特集 小腸疾患2008 各論 1.小腸腫瘍性疾患

8) 転移性腫瘍

著者: 渡辺憲治1 森本謙一1 谷川徹也1 細見周平1 平田直人1 末包剛久1 鎌田紀子1 十河光栄1 山上博一1 藤原靖弘1 押谷伸英1 荒川哲男1

所属機関: 1大阪市立大学大学院医学研究科消化器器官制御内科学

ページ範囲:P.570 - P.574

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要旨 転移性小腸腫瘍の臨床的特徴について述べた.小腸内視鏡の進歩による発見機会の増加と癌化学療法の進歩による患者予後の改善により,今後,頻度は変化していくものと思われた.原発巣は肺癌,悪性黒色腫が多く,転移部位は空腸が多く,病変が多発しやすかった.下血や腸管閉塞症状を来すことが多く,画像診断ではbull's eyeやtransverse stretchが特徴像であった.転移性小腸腫瘍の内視鏡検査は,腫瘍の全体像が認識しやすく,生検も可能なダブルバルーン小腸内視鏡が,より適していると思われた.小腸内視鏡検査の進歩による早期診断,病態解明が,予後不良例が多い本疾患患者の予後改善につながることを期待している.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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