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文献詳細

雑誌文献

胃と腸43巻4号

2008年04月発行

文献概要

特集 小腸疾患2008 各論 2.小腸炎症性疾患

2) 腸結核

著者: 中村正直1 大宮直木1 本田亘1 白井修1 竹中宏之1 丹羽康正1 後藤秀実1

所属機関: 1名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学

ページ範囲:P.591 - P.596

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要旨 高齢化社会の到来や免疫抑制剤の多分野での使用に伴い,小腸結核は増えると考えられる.以前は小腸結核の診断は困難であったが2001年以降,新たな小腸内視鏡であるカプセル内視鏡とダブルバルーン内視鏡の登場により全小腸の観察が可能になり,今後は無症候性患者の拾い上げや早期診断が行われると思われる.当科では390例の小腸疾患診療の中で,胃や大腸に病変を認めない小腸結核確診4例を経験した.それらの内視鏡像では回腸が病変の主座であることが多く,不整形の浅い潰瘍性病変の多発と浮腫状粘膜が特徴的であった.治療は化学療法が中心となるが,難渋することがあり少なくとも1年間は継続することを勧めたい.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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