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文献詳細

雑誌文献

胃と腸43巻4号

2008年04月発行

文献概要

特集 小腸疾患2008 各論 2.小腸炎症性疾患

10) Whipple病・糞線虫症

著者: 金城福則1 金城渚1 仲本学1 岸本一人1 知念寛1 井濱康1 座覇修1 内間庸文1 豊見山良作1 前田企能1 クリステンセンめぐみ2 平田哲生2 外間昭2 藤田次郎2

所属機関: 1琉球大学医学部附属病院光学医療診療部 2琉球大学医学部附属病院第一内科

ページ範囲:P.643 - P.650

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要旨 Whipple病は,下痢,体重減少,腹痛,関節痛などを認め,吸収不良症候群を呈する疾患であり,Tropheryma whippleiの感染により生じる全身性疾患である.消化管では十二指腸を含む小腸が病変の主体であるが,アジア地域では極めてまれな疾患である.内視鏡検査でびまん性の白色絨毛の所見が特徴的であり,生検組織で粘膜固有層のPAS染色陽性マクロファージを証明し,確定診断には電顕とPCRが重要である.糞線虫症(strongyloidiasis)は糞線虫(Strongyloides stercoralis)によって起こる寄生虫感染症の1つである.糞線虫はヒトに経皮的に感染し,主に十二指腸や小腸上部に寄生する.わが国では沖縄県と鹿児島県の南西諸島が浸淫地である.糞線虫症は低蛋白血症や麻痺性腸閉塞が診断の契機となることが多いが,播種性糞線虫症としての細菌性肺炎や髄膜炎など致命的合併症で診断されることも少なくない.内視鏡検査所見として粘膜ひだの腫大・混濁,びらん・潰瘍形成などであり,生検組織に虫体や虫卵を認めることがあるが,ほとんどが重症化した症例の所見であり,糞便を用いた普通寒天平板培地法による診断が重要である.

参考文献

1) Arakaki T, Iwanaga M, Kinjo F, et al. Efficacy of agar-plate culture in detection of Strongyloides stercoralis Infection. J Parasitol 76:425-428, 1990
2) Yogi T, Hokama A, Kinjo F, et al. Whipple's disease:the first Japanese case diagnosed by electron microscopy and polymerase chain reaction. Intern Med 43:566-570, 2004
3) Perez-Cuadrado E, Mas P, Hallal H, et al. Double-balloon enteroscopy:a descriptive study of 50 explorations. Rev Esp Enferm Dig 98:73-81, 2006
4) Fritscher-Ravens A, Swain CP, von Herbay A. Refractory Whipple's disease with anaemia:first lessons from capsule endoscopy. Endoscopy 36:659-662, 2004
5)金城福則,志喜屋孝伸.寄生虫と内視鏡―糞線虫症.消化器内視鏡 5:1621-1626, 1993

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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