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文献詳細

雑誌文献

胃と腸43巻4号

2008年04月発行

文献概要

特集 小腸疾患2008 各論 4.全身性疾患の部分症としての小腸病変

2) アミロイドーシス

著者: 小林広幸1 松本主之2 梁井俊一2 堺勇二1 蔵原晃一1 渕上忠彦1

所属機関: 1松山赤十字病院胃腸センター 2九州大学大学院医学研究院病態機能内科学

ページ範囲:P.687 - P.691

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要旨 全身性アミロイドーシスのうち消化管への親和性が高く臨床上遭遇する機会が多いのはAL型とAA型アミロイドである.小腸は最も高頻度かつ高度にアミロイドが沈着する部位であるが,両者は沈着様式の相違により形態学的に異なる特徴的な所見を呈する.すなわち,AL型では粘膜筋板と粘膜下層,固有筋層に塊状沈着を生じるため,Kerckringひだの肥厚と粘膜下腫瘤様の小隆起の多発が特徴的である.一方,AA型では粘膜固有層と粘膜下層の血管壁に沈着するため,絨毛構造に変化を生じ典型例では微細顆粒状隆起が多発する特徴的な粗ぞうな粘膜像を呈してくる.近年,カプセル内視鏡とダブルバルーン小腸内視鏡の登場による小腸疾患診断学の向上は目覚しいが,びまん性小腸疾患の診断に際しては,全体像が見渡せるX線検査はいまだ簡便かつ有用であり,消化器医としてはそのX線学的特徴を知っておくことは重要と思われる.

参考文献

1)磯部敬.アミロイドーシス.医学書院,1997
2)多田修治.消化管アミロイドーシスの診断に関する研究―特にアミロイド線維蛋白との関係について.福岡医誌 82:624-647, 1991
3)平橋美奈子,松本主之,城由紀彦,他.消化管に限局した原発性アミロイドーシスの1例―長期経過を含めて.胃と腸 37:855-861, 2002
4) Tada S, Iida M, Yao T, et al. Endoscopic features in amyloidosis of the small intestine:clinical and morphologic differences between chemical types of amyloid protein. Gastrointest Endosc 40:45-50, 1994
5)多田修治,飯田三雄,松本主之,他.アミロイドーシスの十二指腸病変.胃と腸 37:809-817, 2002
6) Aoyagi K, Iida M, Yao T, et al. Characteristic endoscopic features of intestinal lymphangiectasia:correla-tion with histological findings. Hepatogastroenterology 44:133-138, 1997
7) Kobayashi H, Tada S, Fuchigami T, et al. Secondary amyloidosis in patients with rheumatoid arthritis:diagnosis and prognostic value of gastroduodenal biopsy. Br J Rheumatol 35:44-49, 1996
8)多田修治,飯田三雄,八尾恒良.消化管アミロイドーシス.八尾恒良,飯田三雄(編).小腸疾患の臨床.医学書院,pp 275-283, 2004
9)山本淳也,宇野博之,平井郁仁,他.Crohn病に合併した続発性アミロイドーシス11例の臨床的検討.胃と腸 34:1255-1266, 1999
10)松本主之,檜沢一興,中村昌太郎,他.小腸の非腫瘍性疾患におけるX線検査の有用性―鑑別診断の立場から.胃と腸 38:1005-1016, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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