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文献詳細

雑誌文献

胃と腸43巻5号

2008年04月発行

今月の主題 linitis plastica型胃癌―病態と診断・治療の最前線

主題

linitis plastica型胃癌,特にその初期病変の診断―X線診断を中心に

著者: 吉田諭史1 馬場保昌1 山里哲郎1 長浜隆司1 中島寛隆1 石野淳1 小野良樹2

所属機関: 1早期胃癌検診協会中央診療所 2東京都予防医学協会

ページ範囲:P.775 - P.785

文献概要

要旨 linitis plastica型胃癌の初期病変は,胃底腺粘膜領域内に存在する未分化型の早期胃癌である.臨床的には,潰瘍瘢痕合併の有無にかかわらず,少なくとも粘膜下層までの浸潤にとどまる1cm前後の未分化型胃癌を標的病変とする.X線診断では,明瞭な陥凹境界と大小不同の顆粒状陰影を示す典型的な未分化型癌のⅡc像だけでなく,透視下にも容易に観察できる小ニッシェ像と粘膜ひだの異常像を見逃さないように注意すべきである.特に,小ニッシェ像として現れる病変(微小Ⅲ型)は,小さくても粘膜下層に浸潤している特徴があり,中村の定義する前linitis plastica型癌1)の形態的特徴を備えている.

参考文献

1)中村恭一.胃癌の構造,2版.医学書院,pp 172-212, 1990
2)加来幸生,馬場保昌,武本憲重,他.胃壁の伸展性の保たれていたびまん性浸潤型進行胃癌の検討.消化器内視鏡の進歩31:215-220, 1987
3)加来幸生,馬場保昌,武本憲重,他.切除後5年以上生存した,びまん性広汎浸潤型進行胃癌(linitis plastica型)7例の検討.消化器内視鏡の進歩28:156-161, 1986
4)馬場保昌,中原慶太,森田秀祐,他.X線的胃小区像からみた背景粘膜の質的診断.胃と腸30:1315-1324, 1995
5)胃X線撮影法標準化委員会.最終答申案報告:新・胃X線撮影法(間接・直接)の基準.日消集検誌40:437-447, 2002
6)胃X線撮影法標準化委員会.新・胃X線撮影法(間接・直接)ガイドライン,メディカルレビュー社,2005
7)馬場保昌,清水宏,津曲淳一,他.胃底腺領域癌のX線診断―スクリーニング検査,深達度,浸潤範囲について.胃と腸22:1011-1026, 1987
8)馬場保昌,杉山憲義,丸山雅一,他.陥凹性早期胃癌のX線所見の比較.胃と腸10:37-49, 1975
9)馬場保昌,清水宏,武本憲重,他.胃癌組織分類とX線・内視鏡所見.胃と腸26:1109-1124, 1991
10)馬場保昌,清水宏,武本憲重,他.X線的深達度診断の指標と問題点―早期胃癌を中心に.診断と治療78:748-769, 1990
11)岡村泰賢,小西ちさと,増田幸久,他.胃集検におけるlinitis plastica型胃癌診断の現状.胃と腸27:539-550, 1992

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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