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文献詳細

雑誌文献

胃と腸43巻5号

2008年04月発行

文献概要

今月の主題 linitis plastica型胃癌―病態と診断・治療の最前線 主題

linitis plastica型胃癌初期病変の内視鏡診断

著者: 細川治1 海崎泰治2 宮永太門1 大槻忠良1 服部昌和1 道傳研司1 大田浩司1 伊藤祥隆1 吉村信3

所属機関: 1福井県立病院外科 2福井県立病院病理 3福井市吉村医院内科

ページ範囲:P.799 - P.809

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要旨 逆追跡されたlinitis plastica型胃癌の初期病変は微小なものだけではなく,相当の大きさの例もみられる.linitis plastica型胃癌の初期像の診断精度を向上させる目的で,非萎縮帯に存在した未分化型SM・MP癌46例の内視鏡的所見を検討した.①粘膜下組織の癌浸潤範囲が粘膜内進展範囲より広く,②粘膜下組織の線維化組織を越えて癌が浸潤する病巣を初期病変であるpre-linitis plasticaとすると10例が該当した.pre-linitis plastica癌の内視鏡的特徴として,癌巣中央陥凹面の白苔,癌巣周囲隆起,皺襞集中を認めることが多かった.これに対して小範囲浸潤例は白苔,周辺隆起が少なく.充実型低分化腺癌例は白苔,ひだ集中が少なく,鑑別が可能ではないかと思われた.しかし,粘膜下層に大量浸潤した例では白苔,周辺隆起,ひだ集中が観察されることが多く,pre-linitis plasticaとの鑑別が難しいものが含まれると考えられた.

参考文献

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3)杉山憲義,馬場保昌,竹腰隆男,他.Linitis plastica状態の胃癌の臨床経過の検討.胃と腸15:1153-1163, 1980
4)荒木恒敏,池園洋,中村恭一,他.胃底腺粘膜から発生した癌の粘膜下組織における進展過程―特に潰瘍との関係について.胃と腸19:579-587, 1984
5)渡辺英伸,八尾恒良.linitis plastica型胃癌の病理組織学的研究.胃と腸11:1285-1296, 1976
6)八尾恒良.“pre-linitis plastica”型胃癌とは.胃と腸35:871-873, 2000
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9)長南明道,望月福治,渋木諭,他.pre-linitis plastica型胃癌の形態的特徴―内視鏡の立場から.胃と腸35:907-914, 2000
10)竹田彬一,保田光代,中藤正樹,他.逆追跡症例からみた“pre-linitis plastica”型胃癌の形態的特徴.胃と腸35:915-925, 2000
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12)馬場保昌,清水宏,津曲淳一,他.胃底腺領域癌のX線診断―スクリーニング検査,深達度,浸潤範囲について.胃と腸22:1011-1026, 1987

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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