icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸43巻5号

2008年04月発行

今月の主題 linitis plastica型胃癌―病態と診断・治療の最前線

主題症例

体外式超音波が発見契機となったスキルス胃癌の1例

著者: 畠二郎1 眞部紀明1 楠裕明1 今村祐志1 石井学2 佐藤元紀2 田中俊昭2 鎌田智有2 春間賢2

所属機関: 1川崎医科大学検査診断学 2川崎医科大学内科学食道胃腸科

ページ範囲:P.845 - P.851

文献概要

要旨 症例は63歳,女性.上腹部痛と食思不振を主訴に受診した.体外式超音波では,胃体下部から前庭部にかけて不明瞭ながらも層構造の温存された壁肥厚が描出され,内腔の狭小化と壁硬化を伴っていた.胃X線および内視鏡検査では体下部から前庭部に粘膜の粗糙な壁硬化を認めた.びらん面からの生検により低分化型腺癌と診断され,幽門側胃切除が施行された.病理組織学的には胃壁全層に結合織の増生を伴うsignet cell carcinomaの浸潤がみられたが,超音波像は壁層構造の変化をよく反映していた.びまん性胃壁肥厚を呈する疾患は腫瘍性,炎症性とも多岐にわたるが,体外式超音波はそのスクリーニングおよび鑑別診断に有用であると思われた.

参考文献

1)八尾隆史,三浦修,川野豊一,他.胃癌診断における生検診断の現状と問題点.胃と腸34:1469-1475, 1999
2)阿部慎哉,長南明道,増田高行,他.胃癌診断における内視鏡下生検の現状.胃と腸34:1477-1484, 1999
3)白壁彦夫,浜田勉,碓井芳樹,他.比較診断学からみたAGML―X線診断の検討.胃と腸24:661-671, 1989
4) Okanobu H, Hata J, Haruma K, et al. Giant gastric folds:differential diagnosis at US. Radiology 226:686-690, 2003
5)浜田勉,近藤健司,阿部剛,他.びまん浸潤型胃癌と鑑別を要する炎症性病変.胃と腸37:1687-1699, 2002
6)矢田親一朗,松本主之,中村昌太郎,他.びまん浸潤型胃癌と鑑別を要する炎症性疾患.胃と腸37:1701-1714, 2002
7)藤沢亨,福島万奈,倉石章,他.広範な萎縮,びらん,出血所見を呈し,診断に苦慮した自己免疫性汎胃炎(autoimmune pangastritis)の1例.胃と腸37:1734-1740, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら