文献詳細
今月の主題 消化管follicular lymphoma―診断と治療戦略
主題
消化管follicular lymphomaの治療方針―私はこう考える
著者: 中村常哉1 田近正洋1 河合宏紀1 鏡味良豊2 山本一仁2 加藤春美2 横井太紀雄3 谷田部恭3 中村栄男4
所属機関: 1愛知県がんセンター中央病院内視鏡部 2愛知県がんセンター中央病院血液細胞療法部 3愛知県がんセンター中央病院遺伝子病理診断部 4名古屋大学臨床検査部病理
ページ範囲:P.1081 - P.1084
文献概要
消化管原発の悪性リンパ腫の多くはMALT(mucosa-associated lymphoid tissue)リンパ腫やびまん性大細胞リンパ腫である1).一方,濾胞性リンパ腫の頻度はYoshinoら2)の報告では3.6%(8/222)と低く,他の報告1)でも同様であるが,部位別頻度をみると十二指腸あるいは小腸が多い2)3).十二指腸の濾胞性リンパ腫の内視鏡所見は特徴的で,多くは十二指腸乳頭周囲に白色顆粒が集簇あるいは散在する4).このような所見が注目されるようになり,上部消化管内視鏡検査で発見される症例が増加しているが,その多くは無症状で臨床病期がI期5)であり,積極的に放射線治療や化学療法,外科治療などを行うか,watchful waitとするか,いまだ統一された見解はない.本稿では,自施設での経験をもとに,現時点における消化管濾胞性リンパ腫,特に十二指腸濾胞性リンパ腫の取り扱いに関する筆者らの見解を述べる.
参考文献
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