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文献詳細

雑誌文献

胃と腸43巻8号

2008年07月発行

今月の主題 胃癌に対する内視鏡スクリーニングの現状と将来

主題

X線検診との比較における胃内視鏡検診有効性評価

著者: 細川治1 宮永太門1 浅海吉傑1 海崎泰治2 松田一夫3 田中正樹3 服部昌和1 道傳研司1 林裕之1 平沼知加志1

所属機関: 1福井県立病院外科 2福井県立病院臨床病理科 3福井県健康管理協会

ページ範囲:P.1203 - P.1210

文献概要

要旨 有効性の証明された胃癌X線検診との比較を行うことで,内視鏡検診の評価を試みた.1995年度に対策型検診として間接X線による胃集団検診を受けた受診者36,876名と,1993~1995年に任意型検診として内視鏡検診を受けた受診者4,032名を対比した.X線検診での胃癌発見率0.14%,早期胃癌率68.6%,5年生存率78.4%より,内視鏡検診の胃癌発見率0.55%,早期胃癌率86.4%,5年生存率95.5%が勝っていた.検診で胃癌と診断されなかった受診者をわが国で最も届け出精度の高い福井県がん登録と照合した.検診を含めて5年以内の胃癌罹患率はX線検診受診者0.66%より内視鏡検診受診者1.26%で高率であり,内視鏡検診受診者の胃癌は有意に進展度が低い症例が多く,胃癌5年生存率はX線検診受診者80.4%より内視鏡検診受診者90.2%が良好であった.検診から5年目までに胃癌死亡した患者は内視鏡検診で2例,X線検診では41例であり,死亡率減少効果の面では両検診に統計的な差は認められなかったが,内視鏡検診のほうが上位であり,X線検診以上に内視鏡検診が有効であることが示唆された.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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