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文献詳細

雑誌文献

胃と腸43巻8号

2008年07月発行

文献概要

消化管造影・内視鏡観察のコツ

〔消化管造影のコツ〕選択的逆行性回腸造影

著者: 長浜孝1 平井郁仁1 高木靖寛1 津田純郎1 松井敏幸1 竹中國昭2

所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器科 2竹中医院

ページ範囲:P.1255 - P.1259

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はじめに

 近年,ダブルバルーン小腸内視鏡が開発され,小腸疾患の診断に盛んに用いられている.小腸内視鏡検査は微細な病変の見つけ出しに優れ,生検や止血,拡張術などの治療ができる利点はあるものの,往々にして診断が主観的で局所所見にとらわれやすいという欠点がある.一方,小腸X線検査は病変の大きさ,存在部位,配列あるいはその経時的推移を客観的に評価可能である.

 1974年に中村ら1),小林ら2)によって小腸二重造影法が開発され,微細病変の描出が可能となり,小腸の診断学は著しく向上した.しかし順行性の造影では①小骨盤腔内における小腸係蹄の重なり,②空気不足による伸展不良,③バリウムの付着低下などが原因となり,下部小腸および回腸末端部の描出能は満足できるものではなかった.これらの欠点を補う造影法として,1985年に川村ら3)は選択的逆行性回腸造影法を開発した.大腸内視鏡検査後に回腸末端にガイドワイヤーを留置した後,全長240 cmの造影用long tube(double lumen one balloon tube,Japan Sherwood社製)を回腸末端まで挿入し,バリウムと空気を注入する手法であった.1992年竹中ら4)は,本法がゾンデ式小腸二重造影法に比べ,下部小腸,回腸末端の描出能が優れていることを証明した.しかし,回腸末端で固定したlong tubeの先端バルーンが上行結腸に逸脱した場合,造影される範囲が狭くなり良好な二重造影が得られないなどの問題点があった.そこで,1995年竹中らは,チューブ先端の逸脱を防ぐために改良を加え,逆行性回腸造影専用のダブルバルーンチューブ(イレウスチューブ18DB2400T先なしタイプ,Create Medic社)(Fig. 1)を考案し,その手技を確立させた5)

参考文献

1)中村裕一,谷啓輔,中村勁,他.経ゾンデ法による小腸X線検査.胃と腸 9:1461-1469, 1974
2)小林茂雄,西沢護,水野幸一,他.小腸のレントゲン検査法―第1法;ルーチン検査としての小腸二重造影法.臨放 19:619-625, 1974
3)川村亮機,岡部正人,三隅厚信.小腸の内視鏡観察およびX線造影同時併用法.胃と腸 20:797-804, 1985
4)竹中国昭,岡田光男,八尾恒良.大腸内視鏡検査を利用した逆行性回腸造影と選択的大腸造影の検討.胃と腸 27:1435-1448, 1992
5)竹中国昭,真武弘明,帆足俊男,他.Crohn病の下部回腸病変に対する大腸内視鏡を利用した逆行性回腸造影;改良型バルーン使用後の本法の評価を含めて.日消誌 92:1695, 1995
6)八尾恒良,飯田三雄.小腸疾患の臨床.医学書院,2004
7)高木靖寛,八尾恒良,松井敏幸,他.単純性潰瘍および腸型Behcet病のX線,内視鏡所見の検討.胃と腸 38:229-242, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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