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文献詳細

雑誌文献

胃と腸43巻8号

2008年07月発行

今月の主題 胃癌に対する内視鏡スクリーニングの現状と将来

序説

胃癌に対する内視鏡スクリーニングは本当に有効か

著者: 芳野純治1

所属機関: 1藤田保健衛生大学第二病院内科

ページ範囲:P.1137 - P.1138

文献概要

はじめに

 胃癌のスクリーニング検査は,以前にはX線検査を行い,その後に精密検査として内視鏡検査,生検が行われていた.その後,食道・胃・十二指腸までを観察するpanendoscopyと呼称して内視鏡検査をスクリーニング法として用いることが提唱された.そして,1980年代前半において,X線検査あるいは内視鏡検査のどちらの検査を先にスクリーニング法として行うかについては大いに検討され,本誌でも18巻1号「臨床の場における上部消化管スクリーニング法―X線と内視鏡」(1983年),19巻1号,2号「Panendoscopyの評価(1),(2)」(1984年)に取り上げられている.

 その後,内視鏡検査の検査件数は増加し,現在ではほとんどの施設において,スクリーニングとしてのX線検査件数は極めて少なくなり,内視鏡検査が主として用いられるようになっている.これには生検により病理診断を直ちに行うことができることの他に,内視鏡機器の改良により鮮明な画像が得られるようになったことや,操作性が良好になったことより"胃内視鏡検査は胃X線検査に比べ胃癌発見率が高い"と多くの内視鏡医が考えていることによるのであろう.

参考文献

1)平成16年度厚生労働省がん研究助成金「がん検診の適切な方法とその評価法の確立に関する研究」班.有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン.2006
2)尾辻真人,河野裕一,尾辻章宜,他.細径パンエンドスコープによる胃癌の診断限界―特に経過観察による分析.胃と腸 24:1291-1297, 1989
3)細川治,服部昌和,武田孝之,他.胃がん拾い上げにおける内視鏡検査の精度.日消集検誌 42:33-39, 2004
4) Riecken B, Pfeiffer R, Ma JL, et al. No impact of repeated endoscopic screens on gastric cancer mortality in a prospectively followed Chinese population at high risk. Prev Med 34:22-28, 2002
5)西沢護,野本一夫,細井董三,他.早期胃癌診断におけるルーチン検査の確かさ―内視鏡検診(panendoscopy)からみて.胃と腸 20:949-954, 1985

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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