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文献詳細

雑誌文献

胃と腸43巻8号

2008年07月発行

文献概要

今月の主題 胃癌に対する内視鏡スクリーニングの現状と将来 主題

胃癌のスクリーニングとしての内視鏡検査の現状と問題点―住民個別検診の立場から

著者: 古川敬一1 北川晋二1 中村裕一1 増田信生1 古川尚志1 高宮紘士1 家守光雄1 北野亀三郎1 高山武彦1 藤見是1 古賀安彦1

所属機関: 1福岡市医師会消化管検診委員会

ページ範囲:P.1153 - P.1164

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要旨 福岡市の2006年度の内視鏡個別,X線個別,X線集団検診の割合は,それぞれ48%,25%,27%で,福岡市の胃癌検診の約半数が内視鏡検診を受けていた.2000~2005年度(6年間)の内視鏡検診総受診者数は50,182名で,癌発見率は0.51%,早期癌率は74.3%であった.偽陰性率を,癌と診断された内視鏡検査から遡って3年以内に癌陰性内視鏡検診を受けた者の割合と定義すると,偽陰性率は16.5%であった.その中で11.9%に進行癌が含まれていた.X線検診に比べ内視鏡のほうが癌発見率に優れており,スクリーニングとしての内視鏡検診は有用であると思われるが,16.5%の偽陰性率があり進行癌の見逃しも存在するため,検査の標準化,精度管理のあり方など全国的なレベルの底上げ,統一を図っていく必要があると思われた.

参考文献

1)平成16年度厚生労働省がん研究助成金「がん検診の適切な方法とその評価方法の確立に関する研究」班.有効性に基づく検診ガイドライン.厚生労働省,2006
2)北川晋二,宮川国久,宇都宮尚,他.平成17年度消化器がん検診全国集計.I.胃集検全国集計.II.大腸集検全国集計.III.食道集検および肝胆膵集検全国集計.日消がん検診誌 46:53-76, 2008
3)中村裕一,増田信生,北川晋二,他.福岡市の胃がん内視鏡個別検診の成績―X線個別検診および集団検診との比較検討.日消集検誌 42:489-497, 2004
4)志和忠志,菱木智,牧由美子,他.職域胃検診における内視鏡選択方式導入の現状と展望.日消集検誌 40:368-372, 2002
5)細川治,服部唱和,武田孝之,他.胃がん拾い上げにおける内視鏡検査の精度.日消集検誌 42:33-39, 2004
6)吉田諭史,馬場保昌,丸山雅一,他.胃上皮性腫瘍の内視鏡観察診断成績―内視鏡検診のあり方について.日消がん検診誌 44:604-615, 2006
7)細川治,服部昌和,武田孝之.繰り返し内視鏡検査による胃がん死亡率減少効果.日消がん検診誌 46:14-19, 2008
8)藤田安幸,石川茂正,市川純二,他.内視鏡検査の選択が可能な胃癌個別検診法の検討.日消がん検診誌 39:509-516, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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