icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸43巻8号

2008年07月発行

文献概要

今月の主題 胃癌に対する内視鏡スクリーニングの現状と将来 主題

胃癌スクリーニングにおける内視鏡検査の有用性―X線検査との比較から

著者: 吉田諭史1 馬場保昌1 山里哲郎2 長濱隆司1 中島寛隆1 山本栄篤1 吉田操1

所属機関: 1早期胃癌検診協会中央診療所 2有田共立病院

ページ範囲:P.1186 - P.1196

文献購入ページに移動
要旨 内視鏡検査による胃癌スクリーニング検査を,生検組織診断を併用しない内視鏡観察診断と定義し,219例246病変の観察診断成績と検査環境を分析した.観察診断正診率は表在型癌71.0%,非表在型癌95.5%で,癌発見ならびに観察診断成績ともに鎮痙剤未使用群で好成績であった.非正診例は,小彎および胃下部領域に多く,分化型の陥凹型早期胃癌に多い傾向がみられた.62病変の内視鏡検査成績と検診X線見直し診断の比較からは,X線的に描出困難な病変の大きさは8mm以下,X線的に質的診断が困難な病変の大きさは16mm以下であった.以上のことから,胃癌のスクリーニング検査で内視鏡が有用性を発揮するには,観察診断による大きさの目安を16mm以下の病変に求める必要があると考えられた.

参考文献

1)深尾彰,濱島ちさと,渋谷大助,他.有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン 平成17年度厚生労働省がん研究助成金「癌検診の適切な方法とその評価法の確立に関する研究」班.癌と化学療法 33:1183-1197, 2006
2)日本胃癌学会(編).胃癌取扱い規約,第13版.金原出版,1999
3)中原慶太,水町寿伸,渡辺靖友,他.画像精度と読影精度からみた新・胃X線撮影法の評価.日消がん検診誌 45:330-340, 2007
4)吉田諭史,馬場保昌,江頭秀人,他.新・胃X線撮影法(間接)に即した読影基準の試案.日消集検誌 43:415-429, 2005
5)馬場保昌,清水宏,武本憲重,他.胃癌組織分類とX線・内視鏡所見.胃と腸 26:1109-1124, 1991
6)馬上典子,古明地彰,八巻悟郎,他.上部消化管内視鏡検査における鎮痙剤について.日消内視鏡技会誌 47:2085, 2005
7)金子榮藏,原田英雄,春日井達造,他.消化器内視鏡関連の偶発症に関する第4回全国調査報告1998年より2002年迄の5年間.日消内視鏡技会誌 46:54-61, 2004
8)吉田諭史,馬場保昌,丸山雅一,他.胃上皮性腫瘍の内視鏡観察診断成績―内視鏡検診のあり方について.日消がん検診誌 44:604-615, 2006
9)胃X線撮影法標準化委員会.新・胃X線撮影法(間接・直接)ガイドライン,日消集検学会,2005
10)胃X線撮影法標準化委員会.最終答申案報告.新・胃X線撮影法(間接・直接)の基準.日消集検誌 40:437-447, 2002
11)木村俊雄,吉田諭史,馬場保昌.胃がん検診における直接X線検査の標準化.日消がん検診誌 46:177-188, 2008
12)西沢護,野本一夫,細井董三,他.早期胃癌診断におけるルーチン検査のたしかさ 内視鏡検査(panendoscopy)からみて.胃と腸 20:949-954, 1985
13)富樫聖子,佐藤清二,佐藤重之,他.内視鏡検査の遡及的検討―胃X線検査の立場から,日消集検誌 41:76, 2002
14)細川治,服部昌和,武田孝之,他,胃がん拾い上げにおける内視鏡検査の精度.日消集検誌 42:33-39, 2004
15)満崎克彦,福永久美,采田憲昭,他.胃内視鏡検診における偽陰性例の検討.日消がん検診誌 46:202-209, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?