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今月の主題 colitic cancer/dysplasiaの早期診断─病理組織診断の問題点も含めて 主題症例
内視鏡的に診断しえたcolitic cancerの1例
著者: 小川大志12 五十嵐正広12 岸原輝仁12 石山晃世志12 文園豊12 浦上尚之12
所属機関: 1癌研有明病院内視鏡診療部 2癌研有明病院消化器センター内科
ページ範囲:P.1373 - P.1373
文献購入ページに移動主 訴:精査加療目的.
既往歴・家族歴:特記すべき事項なし.
経 過:17歳時,時々下血を認め近医にて注腸検査を施行するも特に異常は認めなかった.以後,下血などの自覚症状は認めなかった.2007年8月ごろより腹部膨満感,食欲低下を認め,近医を受診した.貧血を指摘され,下部消化管内視鏡検査を施行した.S状結腸に4型癌が疑われ,精査加療目的にて当院を紹介され受診した.下部消化管内視鏡検査を施行した.全大腸に潰瘍性大腸炎による変化,S状結腸に管腔のほぼ全周を占め,狭窄を伴う4型の主病変を認めた.主病変より離れた肛門側に領域のある発赤(Fig. 1)を認めた.同部位はインジゴカルミン撒布にて陥凹面(Fig. 2)が明瞭となった.同部位からの生検所見では,明瞭な腺管構造を伴う高分化型のadenocarcinomaを認めた(Fig. 3).p53免疫染色では,腫瘍腺管がdiffuseに染色された(Fig. 4).colitic cancerと診断し,大腸全摘術+回腸肛門管吻合術+回腸人工肛門造設術を施行した.
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