自家蛍光内視鏡装置(AFI)による未分化型早期胃癌の診断
著者:
木津崇
,
上堂文也
,
石原立
,
河田奈都子
,
茶谷里佳
,
山本幸子
,
井上拓也
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鼻岡昇
,
竹内洋司
,
東野晃治
,
飯石浩康
,
竜田正晴
,
富田裕彦
ページ範囲:P.51 - P.59
要旨 内視鏡下で粘膜に励起光を照射し,発生する自家蛍光を捉えてリアルタイムに画像化するのが自家蛍光内視鏡装置(autofl uorescence imaging videoendoscopy system:AFI)である.当院にて2005年1月~2008年6月に内視鏡的粘膜下層はく離術,もしくは外科切除術が行われた未分化型早期胃癌115例のうち治療前評価にAFIが行われた46例を対象に,AFIの未分化型早期胃癌に対する診断能を,白色光観察(white light imaging:WLI)および色素観察(chromoendoscopy:CE)と比較検討した.周囲の背景粘膜との色調差が明瞭で容易に認識できた病変の割合は,AFI 76.1%,WLI 56.5%,CE 60.9%で,AFIが色調差を認識しやすい傾向があった(p=0.120).境界が全周性に明瞭に認識できた病変の割合は,AFI 52.2%,WLI 45.7%,CE 47.8%で差がなかった(p=0.819).上記46例のうちESD適応拡大の対象となりうる内視鏡的深達度がMかつUL陰性であった24例を対象に,病変の広がりに対する診断能を検討したところ,各観察法の正診率はAFI50%,WLI 33.3%,CE21.7%であった(p=0.225).AFIはWLIやCEと比較して病変と背景粘膜との色調差を認識しやすいため範囲診断の正診率を向上させる可能性はあったが,今回の限られた症例数での検討では有用性を明らかにできる程度ではなかった.