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文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻1号

2009年01月発行

文献概要

今月の主題 未分化型胃粘膜内癌のESD―適応拡大の可能性 主題

リンパ節転移陽性の未分化型胃粘膜内癌の病理学的特徴

著者: 松本美野里12 谷口浩和1 関根茂樹3 下田忠和1 後藤田卓志2 小田一郎2

所属機関: 1国立がんセンター中央病院臨床検査部病理 2国立がんセンター中央病院内視鏡診断部 3国立がんセンター研究所病理部

ページ範囲:P.8 - P.14

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要旨 外科切除された胃癌症例のうち,粘膜内癌でリンパ節転移を来した症例について,病理組織学的ならびに免疫組織化学的特徴を明らかにし,さらに分化型と未分化型癌の混在がどの程度リンパ節転移に関与しているのかについて検討を行った.リンパ節転移陽性の粘膜内癌で有意に認められた特徴としては,ULの合併,腫瘍径,腫瘍組織が粘膜全層に存在していることが挙げられた.免疫組織化学的特徴としては,Ki-67陽性の増殖細胞の局在や腫瘍組織でのMUC5AC/MUC6の二層構造の消失が挙げられ,リンパ節転移の危険因子として,腫瘍の粘膜内における分化傾向の消失が最も重要と考えられた.組織型の特徴は印環細胞癌より低分化腺癌(por)がリンパ節転移を来しやすいことが示唆された.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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