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文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻1号

2009年01月発行

文献概要

今月の主題 未分化型胃粘膜内癌のESD―適応拡大の可能性 主題

未分化型胃粘膜内癌の術前診断―X線診断

著者: 山本栄篤1 長浜隆司1 中島寛隆1 吉田諭史1 馬場保昌1 吉田操1 幸田隆彦2

所属機関: 1早期胃癌検診協会中央診療所 2幸田クリニック

ページ範囲:P.25 - P.41

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要旨 胃癌治療ガイドラインによると,未分化型胃癌は内視鏡治療の適応ではないものの,Gotodaらの報告をもとに,リンパ節転移の可能性が低いとされる2cm以下で潰瘍のない粘膜内癌は適応拡大として内視鏡治療が行われているのが現状である.治療適応の決定に必要な,深達度と潰瘍合併および腫瘍径の術前X線診断は厳密な正確さが要求されることから,未分化型癌の病理組織学的な浸潤や進展形式の特徴を踏まえ診断する必要がある.未分化型癌は腫瘍径20mmで約半数が,また潰瘍を合併した40%強がSM浸潤であることから,比較的小さくても浸潤および潰瘍合併に留意し,精密検査や読影をすることが重要である.一方で,非癌の被蓋上皮を残しつつ粘膜内を側方に進展する病変は,IIb類似もしくは随伴IIbの形態を示し,これらはごく微細なX線所見であり,診断が困難な場合がある.さらに,背景粘膜が中間帯や萎縮領域に存在する病変は,胃小区模様の差としてとらえにくいことや,混在型癌は境界範囲が不明瞭となりやすい傾向があることなどから,範囲・進展診断には細心の注意が必要である.

参考文献

1) Gotoda T, Yanagisawa A, Sasako M, et al.Incidence of lymph node metastasis from early gastric cancer : estimation with large number of cases at two large centers. Gastric Cancer 3 : 219-225, 2000
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8) 長浜隆司,中島寛隆,石野淳,他.未分化型混在早期胃癌の臨床的特徴と問題点─ X 線診断を中心に.胃と腸 42 : 1597-1613, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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