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文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻1号

2009年01月発行

文献概要

今月の主題 未分化型胃粘膜内癌のESD―適応拡大の可能性 主題

UL陰性未分化型胃粘膜内癌の術前診断―内視鏡診断―通常観察を中心に

著者: 三宅直人1 三島利之1 長南明道1 中堀昌人1 石橋潤一1 松田知己1 高林広明1 羽根田晃1 濱本英剛1 水野浩志1 宮下祐介1 李仁1 岩間憲行2 望月福治3

所属機関: 1仙台厚生病院消化器内視鏡センター 2仙台厚生病院臨床検査センター病理部 3仙台厚生病院健康管理センター

ページ範囲:P.42 - P.50

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要旨 内視鏡的粘膜下層はく離術(endoscopic submucosal dissection ; ESD)の適応拡大が検討されている未分化型胃粘膜内癌の内視鏡診断について,通常観察を中心に述べた.未分化型癌の存在診断にあたっては,胃固有腺領域の褪色陥凹性病変に特に注意して観察することが重要である.粘膜内にとどまる未分化型癌では,陥凹底は平滑で凹凸不整はなく周囲隆起も認めない.また分化型癌と比べ,粘膜の中間層から深層を這うようにして浸潤する頻度が高いこと,非連続性に進展する場合があることにより,病変境界が時に不明瞭となることがある.内視鏡診断の際にはインジゴカルミン撒布によるコントラスト法の併用や観察する方向や距離,観察時の空気量を変えるなど注意深い診断が重要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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