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文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻1号

2009年01月発行

文献概要

今月の主題 未分化型胃粘膜内癌のESD―適応拡大の可能性 主題

自家蛍光内視鏡装置(AFI)による未分化型早期胃癌の診断

著者: 木津崇1 上堂文也1 石原立1 河田奈都子1 茶谷里佳1 山本幸子1 井上拓也1 鼻岡昇1 竹内洋司1 東野晃治1 飯石浩康1 竜田正晴1 富田裕彦2

所属機関: 1大阪府立成人病センター消化器内科 2大阪府立成人病センター病理・細胞診断科

ページ範囲:P.51 - P.59

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要旨 内視鏡下で粘膜に励起光を照射し,発生する自家蛍光を捉えてリアルタイムに画像化するのが自家蛍光内視鏡装置(autofl uorescence imaging videoendoscopy system:AFI)である.当院にて2005年1月~2008年6月に内視鏡的粘膜下層はく離術,もしくは外科切除術が行われた未分化型早期胃癌115例のうち治療前評価にAFIが行われた46例を対象に,AFIの未分化型早期胃癌に対する診断能を,白色光観察(white light imaging:WLI)および色素観察(chromoendoscopy:CE)と比較検討した.周囲の背景粘膜との色調差が明瞭で容易に認識できた病変の割合は,AFI 76.1%,WLI 56.5%,CE 60.9%で,AFIが色調差を認識しやすい傾向があった(p=0.120).境界が全周性に明瞭に認識できた病変の割合は,AFI 52.2%,WLI 45.7%,CE 47.8%で差がなかった(p=0.819).上記46例のうちESD適応拡大の対象となりうる内視鏡的深達度がMかつUL陰性であった24例を対象に,病変の広がりに対する診断能を検討したところ,各観察法の正診率はAFI50%,WLI 33.3%,CE21.7%であった(p=0.225).AFIはWLIやCEと比較して病変と背景粘膜との色調差を認識しやすいため範囲診断の正診率を向上させる可能性はあったが,今回の限られた症例数での検討では有用性を明らかにできる程度ではなかった.

参考文献

1)日本胃癌学会(編).胃癌治療ガイドライン(医師用),2版.金原出版,2004
2)Uedo N, Iishi H, Tatsuta M, et al. A novel videoendoscopy system by using autofluorescence and reflectance imaging for diagnosis of esophagogastric cancers. Gastrointest Endosc 62 : 521-528, 2005
3)Uedo N, Iishi H, Ishihara R, et al. Novel autofluorescence videoendoscopy imaging for diagnosis of cancers in the digestive tract. Digestive Endoscopy 18 : S131-S136, 2006
4)日本胃癌学会(編).胃癌取扱い規約,13版.金原出版,1999
5)八尾建史,中村守,長浜孝,他.拡大内視鏡による癌の進展範囲診断.胃と腸 42 : 735-745, 2007
6)Kato M, Uedo N, Iishi H. Analysis of color pattern of early gastric cancer by autofluorescence imaging videoendoscopy system. Gastrointest Endosc 65 : AB356, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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