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文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻1号

2009年01月発行

文献概要

今月の主題 未分化型胃粘膜内癌のESD―適応拡大の可能性 主題

未分化型胃粘膜内癌に対するESDの成績と長期予後

著者: 小山恒男1 友利彰寿1 高橋亜紀子1 北村陽子1 堀田欣一1 宮田佳典1

所属機関: 1佐久総合病院胃腸科

ページ範囲:P.81 - P.88

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要旨 3年以上の予後を判定するために,2000年1月~2005年9月に胃ESDが施行された未分化優位型粘膜内癌25例の治療成績を検討した.年齢中央値68歳(36~86歳),腫瘍径中央値20mm(6~43mm),観察期間中央値54か月(31~98か月)であった.未分化型適応拡大病変を潰瘍陰性,20mm以下の粘膜内癌と定義すると,この群に属する症例は7例で,他の18例は適応外病変であった.適応外病変のうち8例は潰瘍瘢痕合併例で,他の10例は潰瘍瘢痕非合併腫瘍径21mm以上例であった.偶発症はなく,一括切除率は96%(24/25),一括完全切除率は80%(20/25)であった.また,適応拡大群(潰瘍非合併,20mm以下)の一括完全切除率は100%(7/7)であった.一括完全切除20例中1例は腫瘍径35mm大の適応外病変であり外科切除が追加されたが,遺残,転移はなかった.他の19例は経過観察されたが,観察期間中央値54か月にて局所再発は認められなかった.不完全切除となった5例中3例に外科手術が施行され,1例に1群リンパ節転移を認めた.残りの2例は経過観察となったが,局所再発は認められなかった.本研究はretrospectiveで観察期間は54か月と短いが,適応拡大群に再発,現病死はなく,未分化型癌への適応拡大の妥当性が評価された.

参考文献

1)Gotoda T, Yanagisawa A, Sasako M, et al. Incidence of lymph node metastasis from early gastric cancer. estimation with a large number of cases at two large centers. Gastric Cancer 3 : 219-225, 2000
2)日本胃癌学会(編).胃癌治療ガイドライン,2版.金原出版,2004
3)Nakayoshi T, Tajiri H, Matsuda K, et al. Magnifing endoscopy combined with narrow band imaging system for early gastric cancer : correlation of vascular pattern with hitopathology. Endoscopy 36 : 1080-1084, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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