icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻10号

2009年09月発行

文献概要

今月の主題 潰瘍性大腸炎の初期病変とその進展・経過 主題

潰瘍性大腸炎の初期病変―臨床的特徴と進展様式

著者: 横山純二1 渡辺和彦1 味岡洋一2 本間照3 松沢純3 小林正明1 河内裕介1 青柳豊1

所属機関: 1新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器内科学分野 2新潟大学大学院分子・診断病理学分野 3新潟県立新発田病院消化器内科

ページ範囲:P.1523 - P.1533

文献購入ページに移動
要旨 大腸アフタ様病変から典型的潰瘍性大腸炎へと進展した6症例(初期アフタ群)について,アフタの内視鏡像,進展様式,臨床経過を分析し,潰瘍性大腸炎の初期病変としてのアフタの意義について検討した.また,潰瘍性大腸炎診断後の経過中に,大腸にアフタ様病変を認めた9症例(経過中アフタ群)についても同様の検討を行った.各群に認めた大腸アフタ様病変は,Ia型(平坦型・発赤と白点),Ib型(平坦型・白苔と周囲の紅暈)とII型(隆起型)の3群に分けられた.初期アフタ群では,II型アフタが6例中4例を占め,4例とも直腸主体で,アフタから典型像への直接進展がみられたのに対し,I型アフタの2例は,アフタ消褪後,別部位に典型像が出現していた.一方,経過中アフタ群は9例ともI型アフタで,Ib型アフタ4例全例が典型像への進展が認められたのに対し,Ia型アフタは5例中1例のみしか進展が認められなかった.以上より,II型アフタは潰瘍性大腸炎の初期病変と考えられ,またIb型アフタについても初期病変である可能性が示唆された.しかし,Ia型アフタについては,大部分が潰瘍性大腸炎の活動期や寛解期に出現する一部分症であると考えられた.

参考文献

1)飯田三雄,檜沢一興,青柳邦彦,他.大腸アフタ様病変のX線学的鑑別診断─アフタ様病変のみから成るCrohn病と他疾患との鑑別を中心に.胃と腸 28 : 397-410, 1993
2)多田正大,藤田欣也,伊藤義幸,他.腸管アフタ様病変の鑑別─内視鏡を中心に.胃と腸 28 : 411-418, 1993
3)横山純二,本間照,味岡洋一,他.大腸にアフタ様病変の出現消退を繰り返し,8年後終末回腸に縦走潰瘍が出現した肛門周囲膿瘍を伴うCrohn病の1例.胃と腸 40 : 937-943, 2005
4)寺井志保,及川圭介,菅原和彦,他.クラミジア直腸炎の1例.胃と腸 40 : 931-936, 2005
5)Matsumoto T, Iida M, Nakamura S, et al. Crohn's disease of aphthous type : serial changes in intestinal lesions. Br J Radiol 73 : 1046-1051, 2000
6)小畑寛純,中條忍,大石高治,他.アフタ様病変のみで発症したCrohn病の1例.胃と腸 29 : 541-545, 1994
7)斉藤裕輔.潰瘍性大腸炎の粘膜微細所見の拡大内視鏡的・病理組織学的および粘液組織化学的研究.Gastroenterol Endosc 36 : 263-273, 1994
8)八尾建史,津田純郎,八尾恒良,他.アフタ様潰瘍と微細病変から1年3ヶ月の経過で典型的直腸炎型潰瘍性大腸炎の像を呈した1例.胃と腸 28 : 463-469, 1993
9)武田昌治,飯田三雄,松本主之,他.アフタ様大腸炎から典型像への進展を観察しえた全大腸炎型潰瘍性大腸炎の1例.胃と腸 33 : 1279-1285, 1998
10)青木哲哉,大川清孝,上田渉,他.約3年半の経過でアフタから典型的な潰瘍性大腸炎へと進展した1例.胃と腸 41 : 971-976, 2006
11)松本主之,中村昌太郎,藤澤律子,他.Crohn病と潰瘍性大腸炎における大腸初期病変の比較.胃と腸 40 : 885-894, 2005
12)Fle´jou JF, Potet F, Bogomoletz WV, et al. Lymphoid follicular proctitis. A condition different from ulcerative proctitis? Dig Dis Sci 33 : 314-320, 1988
13)松本主之,飯田三雄,檜沢一興,他.潰瘍性大腸炎診断基準の問題点─非連続性病変の面から.胃と腸 36 : 507-515, 2001
14)平田一郎,年名謙,村野実之,他.区域性・非連続性病変を呈する潰瘍性大腸炎の臨床的検討.胃と腸 36 : 525-533, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?