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文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻10号

2009年09月発行

文献概要

今月の主題 潰瘍性大腸炎の初期病変とその進展・経過 主題

虫垂開口部病変を伴う潰瘍性大腸炎の臨床的検討

著者: 田中敏宏1 大川清孝1 上田渉1 佐野弘治1 松井佐織1 小谷晃平1 有本雄貴1 青木哲哉2

所属機関: 1大阪市立総合医療センター消化器内科 2大阪市立住吉市民病院内科

ページ範囲:P.1534 - P.1540

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要旨 1996年6月から2008年9月までにtotal colonoscopyを施行した,初発かつ治療前の活動性潰瘍性大腸炎の中で虫垂開口部に病変を認めた症例について,性別・年齢・病型・病変部位・炎症反応・重症度・初期治療効果・治療後経過について検討した.また治療後経過については,再度total colonoscopyを施行し経過観察しえた症例を対象とした.虫垂開口部に病変を認めた症例は44例あり,経過を追えたのは33例であった.罹患範囲による分類では直腸炎型,区域型が多く,虫垂以外に非連続性病変を認める症例が45%と多かった.軽症例が多く,初回治療に対して反応がよい症例がほとんどであるが,長期経過観察において重症化する症例も認められた.区域型を含む非連続性病変を多く認めることより,初発時に虫垂病変を有する潰瘍性大腸炎は多中心性にUC病変が起こり,典型的なUCとは違う病態を示している可能性が考えられた.

参考文献

1)佐野弘治,大川清孝,浜崎尚子,他.虫垂開口部に非連続性病変がみられた潰瘍性大腸炎の2例.Gastroenterol Endosc 37 : 2499-2505, 1995
2)Okawa K, Aoki T, Sano K, et al. Ulcerative colitis with skip lesions at the mouth of the appendix : a clinical study. Am J Gastroenterol 93 : 2405-2410, 1998
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6)大川清孝,青木哲哉.潰瘍性大腸炎における虫垂病変.Gastroenterol Endosc 45 : 1123-1129, 2003
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8)野島啓子,田中信治,國弘真己,他.非連続性病変を呈する潰瘍性大腸炎の臨床病理学的特徴.胃と腸 36 : 535-544, 2001
9)Rutgeerts P, D'Haens G, Hiele M, et al. Appendectomy protects against ulcerative colitis. Gastroenterology 106 : 1251-1253, 1994

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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