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文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻10号

2009年09月発行

文献概要

今月の主題 潰瘍性大腸炎の初期病変とその進展・経過 主題症例

虫垂開口部病変が先行したと思われる潰瘍性大腸炎の1例

著者: 長瀬慶一郎1 土佐正規2 織内竜生2 大楽紀子2 浅野重之3 石塚尋朗4 樋渡信夫2

所属機関: 1長瀬内科胃腸科 2いわき市立総合磐城共立病院消化器科 3いわき市立総合磐城共立病院病理科 4石塚医院

ページ範囲:P.1602 - P.1606

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要旨 潰瘍性大腸炎の直腸炎型~左側大腸炎型の約30%では,虫垂に炎症を伴う“ulcerative appendicitis”を合併すると言われている.今回筆者らは,虫垂病変が先行したと思われる潰瘍性大腸炎の1例を経験した.患者は46歳,男性.検診で便潜血検査陽性を指摘され,全大腸内視鏡検査を施行された.直腸~左側大腸には特に異常を認めず,虫垂開口部に潰瘍性大腸炎様所見,上行結腸に非連続性に小病変を認めた.虫垂からの生検では潰瘍性大腸炎に矛盾しない所見を認めたが,直腸生検では炎症はほとんどみられず,寛解期の所見もみられなかった.1年後の経過観察では虫垂病変は軽度改善を認めたが,直腸には著変はみられなかった.さらに2年半後には,直腸に典型的な潰瘍性大腸炎の所見が出現し,虫垂病変は寛解していた.初期病変としての“ulcerative appendicitis”の可能性が示唆された.

参考文献

1)Cohen T, Pfeffer RB, Valensi O.“Ulcerative appendicitis”occurring as a skip lesion in chronic ulcerative colitis ; report of a case. Am J Gastroenterol 62 : 151-155, 1974
2)舟山裕士,佐々木巌,樋渡信夫,他.潰瘍性大腸炎における虫垂病変.胃と腸 33 : 1213-1218, 1998
3)大川清孝,青木哲哉,佐野弘治,他.潰瘍性大腸炎における虫垂病変の臨床的特徴.胃と腸 33 : 1197-1203, 1998
4)Rutgeerts P, D'Haens G, Hiele M, et al. Appendectomy protects against ulcerative colitis. Gastroenterology 106 : 1251-1253, 1994

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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