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文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻10号

2009年09月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

NBI拡大観察が深達度診断に有用であった大腸SM癌の1例

著者: 中山奈那1 永田信二2 金子真弓3 本田洋士1 斧山美恵子1 川瀬理恵1 桑原健一1 木村茂1 辻恵二1 大越裕章2 坂谷暁夫3 嶋本文雄4 日高徹1

所属機関: 1広島市立安佐市民病院内科 2広島市立安佐市民病院内視鏡科 3広島市立安佐市民病院臨床検査科病理部 4県立広島大学健康科学科

ページ範囲:P.1615 - P.1621

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要旨 患者は80歳代,男性.主訴は便潜血陽性.大腸内視鏡検査で直腸Raに10mm大のIs+IIc病変を認めた.クリスタルバイオレット染色による拡大観察では,隆起の立ち上がりはIIIL~IV型pit pattern,陥凹局面はVI型pit pattern(高度不整)で,NBI拡大観察では陥凹局面は不整な微小血管を認め,血管分布は不均一で無血管野も出現しており,SM深部浸潤を示唆する所見であったが,そのほか明らかなSM深部浸潤の所見は認めなかったため,total biopsy目的でEMRを施行した.病理組織結果は,中分化型管状腺癌,SM実測値1,180μm(粘膜筋板は消失し病巣表層から測定),脈管侵襲ly0,v0,水平断端,深部断端陰性であった.

参考文献

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2)Tanaka S, Nagata S, Oka S, et al. Determining depth of invasion by VN pit pattern analysis in submucosal colorectal carcinoma. Oncol Rep 9 : 1005-1008, 2002
3)永田信二,中山奈那,木村茂,他.NBI拡大観察による大腸腫瘍深達度診断に関する検討.第75回日本内視鏡学会総会プログラム集,P811,2008
4)田中信治,平田真由子,岡志郎,他.大腸腫瘍の診断・治療におけるNarrow Band Imaging(NBI)の役割.Gastroenterol Endosc 50 : 1289-1297, 2008
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型pit patternの分析および診断に関するコンセンサス : 工藤斑研究成果を踏まえて.胃と腸 41 : 1751-1761, 2006
型pit(軽度・高度不整)の亜分類─内視鏡医からみた有用性と問題点.早期大腸癌 11 : 415-420, 2007
13)大腸癌研究会(編).大腸癌治療ガイドライン2005年版医師用.金原出版,P7,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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