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文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻11号

2009年10月発行

文献概要

今月の主題 食道小扁平上皮癌の診断 主題

食道小扁平上皮癌の拾い上げ診断の現況―通常観察とヨード染色法

著者: 島田英雄1 幕内博康1 小澤壮治1 千野修1 西隆之1 木勢佳史1 葉梨智子1 原正1 山本壮一郎1 名久井実1 数野暁人1 井野元知恵2

所属機関: 1東海大学消化器外科 2東海大学病理診断科

ページ範囲:P.1655 - P.1667

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要旨 現在,微小食道癌や小食道癌についての明確な定義はない.筆者らは,腫瘍径が10mm以下は小食道癌,5mm以下は微小食道癌と仮に定義した.現在までに内視鏡的切除(ER)を施行した796例の食道表在癌のうち小食道癌は68例であり,微小食道癌は8例であった.微小,小食道癌の診断に関して,28例(36.8%)は通常観察で診断されたが,48例(63.2%)はヨード染色により発見されている.肉眼型に関しては0-IIb 28例(36.8%)と0-IIc 33例(43.4%)で61例となり,全体の80.2%を占めていた.肉眼型と深達度に関しては,0-IIa,0-IIbでは全例T1a-LPMまでにとどまっていたが,0-IIcで辺縁隆起を伴う病巣や隆起型ではT1a-MM以深の浸潤を認めた.

参考文献

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2)食道色素研究会.第23回食道色素研究会抄録集.日消外会誌 26 : 1187-1192, 1993
3)板橋正幸.微小・小食道癌の臨床病理.病理と臨 12 : 556-559, 1994
4)幕内博康,町村貴郎,三富利夫.微小食道癌の内視鏡診断.吉田操.食道表在癌─画像診断と病理.医学書院,pp192-196, 1993
5)島田英雄,幕内博康,千野修,他.異時性多発食道癌に対する内視鏡治療─多発小ヨード不染を有するEMR後症例に対するAPCの意義.胃と腸 42 : 1381-1388, 2007
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7)門馬久美子,吉田操,藤原純子,他.これからの食道早期癌拾い上げ診断─NBIの立場から.胃と腸 41 : 151-164, 2006
8)島田英雄,幕内博康,町村貴郎,他.5mm以下のヨード不染帯の検討─微小不染帯の臨床的意味は何か.胃と腸 29 : 921-930, 1994
9)幕内博康,島田英雄,千野修,他.m3・sm1食道癌に対するEMRの可能性.胃と腸 33 : 993-1002, 1998
10)島田英雄,幕内博康,千野修,他.内視鏡下治療食道表在癌に対するEMRの位置付けと適応拡大の現況.外科治療 100 : 754-765, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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