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文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻11号

2009年10月発行

文献概要

今月の主題 食道小扁平上皮癌の診断 主題

食道小扁平上皮癌の深達度診断―内視鏡診断

著者: 門馬久美子1 藤原純子1 江頭秀人2 江川直人2 了徳時大郎3 三浦昭順3 加藤剛3 出江洋介3 立石陽子4 根本哲生4 吉田操5

所属機関: 1がん・感染症センター都立駒込病院内視鏡科 2がん・感染症センター都立駒込病院内科 3がん・感染症センター都立駒込病院外科 4がん・感染症センター都立駒込病院病理科 5早期胃癌検診協会

ページ範囲:P.1697 - P.1712

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要旨 2005年1月~2009年6月までに内視鏡治療を行った食道表在癌417例中,小癌は54例56病変(13%),微小癌は34例37病変(8%)であった.(1)微小癌34例37病変の病型は,0-IIa 4病変(11%),0-IIb 13病変(35%),0-IIc 19病変(51%),0-I 1病変(3%)であり,0-IIbと0-IIc病変で86%を占めていた.深達度では,35病変(95%)がT1a-EP癌であり,T1a-LPM癌とT1a-MM癌が各1病変のみであった.T1a-LPM癌の1病変は0-IIc,T1a-MM癌の1病変は0-Iであった.(2)小癌54例56病変の病型は,0-IIa 3病変(5%),0-IIb 14病変(25%),0-IIc 38病変(68%),0-I 1病変(2%)であり,0-IIbと0-IIc病変で93%を占め,なかでも0-IIc型が多く約70%を占めていた.深達度では,T1a-EP癌41病変(73%),T1a-LPM癌3病変(6%),T1a-MM癌8病変(14%),SM2以深癌が4病変(7%)であり,T1a-EPとT1a-LPM癌が約80%を占めていたが,残り20%はT1a-MM癌とSM2以深癌であった.T1a-MM癌,SM2以深癌12病変中,11病変は0-IIc,残り1病変はSM2の0-Iであった.T1a-MM癌2病変とSM2以深癌2病変の計4病変では脈管侵襲陽性であった.微小癌と小癌の深達度診断は,病変の61%を占める0-IIcの深達度診断が主であり,通常観察では,陥凹の程度,陥凹底の色調,陥凹内の凹凸の有無,陥凹周囲の盛り上がりの有無が,NBI併用の拡大観察では,微細血管の変化が壁深達度診断の指標となる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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