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文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻11号

2009年10月発行

今月の主題 食道小扁平上皮癌の診断

主題

食道小扁平上皮癌のX線診断

著者: 高木靖寛1 長浜孝1 平井郁仁1 宮岡正喜1 別府孝浩1 槙信一朗1 八尾建史1 松井敏幸1 田邊寛2 池田圭祐2 大重要人2 太田敦子2 西俣伸亮2 原岡誠司2 岩下明徳2 富安孝成3 前川隆文3

所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器科 2福岡大学筑紫病院病理部 3福岡大学筑紫病院外科

ページ範囲:P.1713 - P.1722

文献概要

要旨 当科で精密X線検査が行われた表在型食道扁平上皮癌139例143病変を隆起型(44病変)と平坦陥凹型(99病変)に分類し,小扁平上皮癌のX線正面像の描出能およびその特徴について検討した.結果,隆起型M1,M2癌の描出能は11mm以上で100%(6病変中6病変),10mm以下の小病変も80%(5病変中4病変)が描出可能であった.平坦陥凹型M1,M2癌では31mm以上の病変でも描出率は73%(11病変中8病変)で腫瘍径が小さくなるにつれ低率となり,10mm以下の小病変では50%(8病変中4病変)と隆起型に比べ描出能が悪かった.腫瘍径と上皮内癌の病理学的事項も含めた検討からは,10mm以下のM1癌および腫瘍径がそれ以上であっても非全層置換型のM1癌の描出率が悪く,X線検査の限界と考えられた.一方,10mm以下の陥凹型M3以深癌4病変は全例が描出可能であり,辺縁隆起を伴う濃い境界明瞭な陰影斑が認められ,深達度診断に有用な所見であった.これらの結果から,転移のリスクのある小さな陥凹型癌の存在範囲・深達度診断にX線検査は有用と考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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