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文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻11号

2009年10月発行

文献概要

今月の主題 食道小扁平上皮癌の診断 主題

食道上皮内扁平上皮癌とintraepithelial neoplasiaの鑑別

著者: 八尾隆史1 中山秀苗1 阿不都卡的依馬木1 上山浩也1 岩本志穂1 林大久生1 三富弘之1

所属機関: 1順天堂大学医学部人体病理病態学

ページ範囲:P.1741 - P.1748

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要旨 「食道癌取扱い規約第10版」から,dysplasia分類が廃止され,食道上皮内腫瘍性病変はCIS(carcinoma in situ)とIN(intraepithelial neoplasia)に分類されるようになったが,これらの用語の意味および臨床的意義は十分に理解されているとは言いがたい.診断の原則としては,食道扁平上皮においては異型を認めた場合にそれが腫瘍性かどうかを判定し,腫瘍であれば,その異型度が癌と判定するのに十分であればCIS,不十分であれば上皮内増殖層の程度でHG-INとLG-INに分類する.腫瘍性の判定にはoblique lineの存在が最も重要な所見である.規約が改訂され,これまで曖昧であったdysplasia分類からCISとINに分類するようになり,わかりやすい分類になったと考えられるが,病理医間で食道上皮内腫瘍性病変に対する考え方や異型度の評価基準に違いがあるため,現在の分類にはいくつかの問題点もある.これらの諸問題を解決するために,規約に準じて分類したCISとINが浸潤癌へ進展する際に関与する因子とそれに対応した組織所見を解明することが今後の課題であり,それにより臨床に有用な食道上皮内腫瘍性病変の分類と診断基準を確立する必要がある.

参考文献

1)日本食道学会(編).臨床・病理─食道癌取扱い規約,10版.金原出版,2007
2)日本食道学会(編).臨床・病理─食道癌取扱い規約,9版.金原出版,1999
3)In Hamilton SR, Aaltonen LA(eds). World health organization classification of tumours. Pathology and Genetics─Tumours of the Digestive System. IARC Press, 2000
4)下田忠和.食道の異形成dysplasiaの考え方と臨床的取り扱い.病理と臨 25 : 687-692, 2007
5)渡辺玄,味岡洋一,小林正明,他.食道扁平上皮dysplasiaの病理診断.胃と腸 42 : 129-135, 2007
6)滝澤登一郎.食道dysplasiaについて.病理と臨 20 : 529-533, 2002
7)大森泰,幕内博康,熊谷義也.食道ヨード不染帯の経過観察.胃と腸 29 : 911-919, 1994
8)島田英雄,幕内博康,町村貴郎,他.5mm以下のヨード不染帯の検討─微小不染帯の臨床的意味は何か.胃と腸 29 : 921-930, 1994
9)門馬久美子,吉田操,藤原純子,他.食道扁平上皮dysplasiaの診断・取り扱い─内視鏡の立場から : ヨード・NBI観察.胃と腸 42 : 147-159, 2007
10)河内洋,小林真季,滝澤登一郎,他.食道上皮内腫瘍性病変の組織像と遺伝子異常.胃と腸 42 : 173-186, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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