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文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻11号

2009年10月発行

早期胃癌研究会症例

有茎性ポリープから発育進展した大腸粘液癌の1例

著者: 樋口良太1 中村文彦1 松浦良徳1 服部克哉1 須田浩晃1 剛崎寛徳1 太田昭彦2 黒田雅彦3 松林純4

所属機関: 1厚生中央病院消化器内科 2太田内科クリニック 3東京医科大学病理学講座 4東京医科大学病理診断科

ページ範囲:P.1777 - P.1784

文献概要

要旨 患者は40歳の男性で腹痛のため当院を受診した.注腸X線検査により直腸S状部に17mm大で,頭部にびらんを伴う有茎性ポリープ(Ip)を認めた.茎は緊満しSM癌と考えられた.その後来院しなかったが,約1年後下痢で入院した際に,注腸X線,大腸内視鏡検査を施行した.同病変は,頂部の陥凹内に隆起を伴う2型大腸癌に変化していた.切除標本の組織学的検索では,陥凹部の表層粘膜には主に印環細胞癌,粘膜下層以深では粘液癌の所見を認め,深達度SEの粘液癌と診断した.Ipの形態変化が追跡可能で最終診断が粘液癌であった報告はなく,大腸癌の発育進展を考えるうえで貴重な症例と思われた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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