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文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻12号

2009年11月発行

文献概要

今月の主題 消化管癌の化学・放射線療法の効果判定と問題点 主題

食道癌に対する化学放射線療法の原発巣の効果判定―EUSを中心に

著者: 有馬美和子1 多田正弘1 田中洋一2

所属機関: 1埼玉県立がんセンター消化器内科 2埼玉県立がんセンター消化器外科

ページ範囲:P.1840 - P.1854

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要旨 術前補助療法(NACRT/NAC)62例,根治療法(DCRT/DRT/DCT)79例を対象として,EUSによる食道癌原発巣効果判定の有用性と問題点を検討した.EUSによる効果判定は腫瘍厚1方向計測で行い,RECISTに準じて判定した.術前補助療法例の検討で,腫瘍厚の縮小率は病理学的効果とよく相関し,内視鏡判定と比べて奏効例を抽出できていた.しかし,効果判定時期が早期に設定されていることもあり,Grade 3の判定は難しかった.根治療法例の初回効果判定時期は平均2.4か月でCR率は32%,その後は平均5.7か月までに53%がCRと判定されていた.縮小率60%以上で層構造の回復がみられる症例にCR例が多く含まれたが,その時点でCRと判定することは適切とは言えなかった.EUSによるCR判定例の再発率は低く,EUSのほうが内視鏡より厳密にCRを判定できることが明らかとなった.salvage EMR例では高周波数細径超音波プローブによる深達度診断が有用であった.

参考文献

1)Therasse P, Arbuck SG, Eisenhauer EA, et al. New guidelines to evaluate the response to treatment in solid tumors. European Organization for Research and Treatment of Cancer, National Cancer Institute of the United States, National Cancer Institute of Canada. J Natl Cancer Inst 92 : 205-216, 2000
2)奥村浩,夏越祥次,横枕直哉,他.食道癌化学放射線療法の組織学的治療効果を反映した原発巣に関する新たな画像効果判定基準.日消外会誌 38 : 1637-1644, 2005
3)太田正穂,村田洋子,井手博子,他.超音波内視鏡による胸部食道癌に対する局所治療効果判定─RECIST基準との比較検討の試み.Gastroenterol Endosc 45 : 1874-1880, 2003
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5)Arima M, Arima H, Tada M. Diagnostic accuracy of tumor staging and treatment outcomes in patients with superficial esophageal cancer. Esophagus 4 : 145-153, 2007
6)有馬美和子,有馬秀明,多田正弘.食道表在癌深達度診断の進歩─拡大内視鏡 vs EUS : EUSの意義.胃と腸 41 : 183-196, 2006
7)日本食道学会(編).臨床・病理食道癌取扱い規約,10版補訂版.金原出版,2008
8)日本食道学会(編).臨床・病理食道癌取扱い規約,9版.金原出版,1999
9)多久佳成,金田貞幹,広中秀一.根治的化学放射線療法例における食道原発巣の内視鏡的効果判定時期の検討.Gastroenterol Endosc 50(supple 1): 697, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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