collagenous colitisの16例―内視鏡像と組織像との関連
著者:
石原裕士
,
松井敏幸
,
原岡誠司
,
槙信一郎
,
別府孝浩
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高木靖寛
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高津典孝
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長浜孝
,
二宮風夫
,
久部高司
,
平井郁仁
,
田邉寛
,
池田圭祐
,
岩下明徳
,
竹下宗徳
,
帆足俊男
,
宗祐人
ページ範囲:P.1983 - P.1994
要旨 近年CCに関して,粘膜面の異常や血管異常などの内視鏡所見,原因薬剤との関連性を示唆する報告も増えている.本稿では自験例CC 16症例に関して,内視鏡異常所見(血管網増生・走行異常,色素撒布後の粗糙・顆粒状粘膜,線状縦走潰瘍・瘢痕,発赤)の大腸分節ごとの出現頻度,分布を検討した.また背景因子や内視鏡所見,病理組織学的所見,CBの厚さ,好中球浸潤,被蓋上皮の脱落)についても相互に対比した.結果:原因薬剤はランソプラゾールが81%を占めた.大腸の左右側内視鏡所見出現度を比較したところ,血管網増生・走行異常所見は高頻度(100~88%)であるが左右差はなかった.粗糙・顆粒状粘膜は右側結腸で63%,左側結腸で25%,であり左右差があった(p=0.03).線状縦走潰瘍は左側結腸に高い傾向があった.便回数の高低別,関連薬剤別に比較したが,臨床像により内視鏡所見などに差異はなかった.病理組織学的所見の程度と内視鏡異常所見の両者に関連はなかった.ただし,粗糙・顆粒状粘膜所見と血管網増生・走行異常所見は相関した(p<0.026).結論:以上より,粗糙・顆粒状粘膜は右側結腸に出現率が高かった.内視鏡異常所見強度同士は相関するものがあった.したがって,CCの診断上,右側結腸で粗糙・顆粒状粘膜を認めればCCに伴う内視鏡異常所見の可能性が高く,また生検をする部位を内視鏡所見により選択する必要性はなく,右側を含む多数の生検が有用と考えられた.