文献詳細
今月の主題 特発性腸間膜静脈硬化症(idiopathic mesenteric phlebosclerosis)―概念と臨床的取り扱い
序説
特発性腸間膜静脈硬化症(idiopathic mesenteric phlebosclerosis)
著者: 岩下明徳1
所属機関: 1福岡大学筑紫病院病理部
ページ範囲:P.135 - P.136
文献概要
われわれが経験した本疾患17症例と文献的に収集しえた本疾患50症例,計67症例の患者の年齢は28~86歳,平均61歳で,男女比は30:37である.発症は緩徐で,主症状は腹痛,下痢,便秘,腹部膨満などで,下血・血便は少ない.罹患部位は,回腸末端部から直腸に及ぶが,病変の程度は右半結腸,特に盲腸・上行結腸に強い.十分に完成された本疾患の臨床画像的特徴としては,腹部単純X線検査では右側腹部に線状石灰化像を認め,腹部CTでは大腸壁の肥厚,および腸管壁ないし腸間膜に一致した石灰化像がみられる3).注腸X線検査では壁硬化や不整,管腔狭小,拇指圧痕像や粘膜の浮腫状変化などの所見を呈し,大腸内視鏡検査では粘膜に暗青~赤色,あるいは褐色などの色調変化がみられ,浮腫や狭窄,びらん・潰瘍,血管透見像の消失などを伴う.
参考文献
掲載誌情報