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文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻2号

2009年02月発行

文献概要

今月の主題 特発性腸間膜静脈硬化症(idiopathic mesenteric phlebosclerosis)―概念と臨床的取り扱い 主題症例

十二指腸癌,肝転移と合併した特発性腸間膜静脈硬化症の1例

著者: 小林隆1 芳野純治1 乾和郎1 若林貴夫1 奥嶋一武1 三好広尚1 渡邉真也1 内藤岳人1 木村行雄1 磯部祥1 友松雄一郎1 中井喜貴2

所属機関: 1藤田保健衛生大学第二病院内科 2京都桂病院消化器科

ページ範囲:P.233 - P.237

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要旨 患者は74歳,女性.右下腹部痛にて近医で注腸造影検査を実施したところ,異常を指摘され当科を受診した.注腸造影では虚血性腸炎に類似した所見,腹部CT検査にて上行結腸を中心に石灰化を認めた.大腸内視鏡検査では粘膜は暗紫色,浮腫状を呈しており,同部位からの生検にて粘膜内と粘膜下の静脈壁の肥厚とフィブリン滲出物を認めた.これらの所見より特発性腸間膜静脈硬化症と診断した.また,本症例は十二指腸癌と転移性肝腫瘍を認めた.本疾患はまれであり,文献的考察を踏まえて報告する.

参考文献

1)小山登,小山洋,花島得三,他.慢性的経過を呈した右側狭窄型虚血性大腸炎の1例.胃と腸 26 : 455-460, 1991
2)岩下明徳,竹村聡,山田豊,他.原因別にみた虚血性腸病変の病理形態.胃と腸 28 : 927-941, 1993
3)Ikehata A, Hiwatashi N, Kawarada H, et al. Chronic ischemic colitis associated with marked calcifications of the mesenteric vessels─report of two cases. Dig Endosc 6 : 355-364, 1994
4)岡崎誠,宮本敦史,村井紳浩,他.急激に発症した静脈硬化症による虚血性大腸炎の1例.手術 52 : 1271-1276, 1998
5)大荷澄江,杉谷雅彦,林紀乃,他.卵巣癌により死亡し,病巣部位を確認し得た特発性腸間膜静脈硬化症の1剖検例.臨病理 32 : 320, 2003
6)久木田和晴,梶晋輔,柴田稔人,他.肝切除後に麻痺性イレウスを発症した静脈硬化性大腸炎を併存した肝細胞癌の1例.日臨外会誌 67 : 500, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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