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文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻2号

2009年02月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

多結節状の形態を呈した胃平滑筋腫の1例

著者: 板場壮一1 中村和彦1 後藤綾子2 八尾隆史3 井星陽一郎1 隅田頼信1 永井英司4 原田直彦5 高柳涼一1

所属機関: 1九州大学大学院病態制御内科学 2九州大学大学院形態機能病理学 3順天堂大学医学部人体病理病態学 4九州大学大学院臨床・腫瘍外科 5国立病院機構九州医療センター消化器科

ページ範囲:P.293 - P.299

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要旨 患者は44歳,女性.検診の胃X線検査で病変を指摘され,前医を受診した.胃内視鏡検査にて粘膜下腫瘍を指摘され,超音波内視鏡下穿刺術目的で当科を紹介された.胃X線および内視鏡検査にて,胃体上部後壁に径6cm大のブドウの房状の粘膜下腫瘍を認めた.超音波内視鏡検査では,胃壁第4層と連続性を有する均一な低エコー腫瘤として描出された.内視鏡的に病変周囲を切開し,その切開に沿って腹腔鏡下に腫瘍を切除した.切除標本の割面像において腫瘍は黄白色の大小様々な結節より成り,病理組織学的には粘膜下層を主体とした紡錘形細胞から成る多結節性の腫瘍であった.免疫組織化学染色ではα-SMAが陽性,c-KIT,CD34,S-100蛋白は陰性であった.以上より胃平滑筋腫と診断した.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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