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文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻3号

2009年03月発行

文献概要

今月の主題 食道扁平上皮癌に対するESDの適応と実際 主題

食道扁平上皮癌に対するEMRとESDの使い分け

著者: 門馬久美子1 吉田操2 藤原純子1 江頭秀人3 藤原崇3 荒川丈夫1 江川直人1 宮本昌武4 三浦昭順4 加藤剛4 出江洋介4 立石陽子5 根本哲生5

所属機関: 1東京都立駒込病院内視鏡科 2早期胃癌検診協会 3東京都立駒込病院内科 4東京都立駒込病院外科 5東京都立駒込病院病理科

ページ範囲:P.325 - P.334

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要旨 食道扁平上皮癌の内視鏡治療として,一括切除できる病変の大きさに制限のあるEMRと,大きい病変を一括切除できるESDの適応を明らかにするため,自験EMR例の治療成績について検討した.2005年1月から2006年12月までの2年間にEMRを施行した25mm程度までの病変で,一括切除が可能と判断した106例を検討対象とした.EMR施行106例の内訳は,T1a-EP 76例,T1a-LPM 10例,T1a-MM 14例,SM1 2例,SM2 4例であり,病変の大きさでは,① 5mm以下の微小癌13 例,② 5mmを超え10mmまでの小癌25例,③ 10mmを超え15mmまでが36例,④ 15mmを超え20mmまでの食道癌が21例,⑤ 20mmを超える食道癌が11例であった.病変の大きさと一括切除率の検討では,① 5mm以下の微小癌と② ~10mmまでの小癌は100%,③ ~15mmまでの食道癌は97%,④ ~20mmまでは83%,⑤ 20mmを超える食道癌は78%であった.食道扁平上皮癌の内視鏡治療において,長径15mm以下の病変に対しては,短時間で容易にかつ安全に一括切除が可能なEMRを適用し,これを超える大きさの病変に対しては,ESDを適用することが合理的と考える.

参考文献

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8)門馬久美子,吉田操,藤原純子,他.食道T1a-MM, SM1癌内視鏡切除後の経過.胃と腸 42 : 1341-1354, 2007
9)平澤大,藤田直孝,石田一彦,他.食道ESD手技の実際.消内視鏡 20 : 307-312, 2008
10)門馬久美子,吉田操,山田義也,他.多発食道癌と粘膜切除.胃と腸 36 : 1039-1047, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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