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文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻3号

2009年03月発行

今月の主題 食道扁平上皮癌に対するESDの適応と実際

主題

食道ESD切除標本の病理学的特徴

著者: 海上雅光1 渡辺秀紀2 奥村浩二2 丹治伸夫2 安斉幸夫2 小沢俊文3

所属機関: 1わたり病院病理科 2わたり病院消化器科 3坪井病院消化器科

ページ範囲:P.335 - P.344

文献概要

要旨 ESDによって切除された標本の病理組織学的特徴について,吸引法によるEMR(aEMR)との対比において検討した.粘膜切除標本ではESD,aEMR両者で共通した組織変性がみられた.それらは細胞・核の収縮,核濃縮,核を圧排する空胞形成,細胞離解,細胞・核の変形とゆがみ,細胞配列の乱れ,であった.しかし,各組織変性の程度と上皮断面における変性の部位はESDとaEMRでは異なっていた.ESDでは上皮中層部の細胞離解,細胞・核の変形とゆがみ,細胞配列の乱れが特徴的であった.また,変性の程度はESDにおいては比較的軽度であり,特に上皮基底部での変性は少なく,病変の質的診断にはより適切であった.大きな病巣が一括で切除可能であり断端確認も容易であることから,病理学的立場からはESDによる粘膜切除が推奨される.

参考文献

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5)永井鑑,河野辰幸,井上晴洋,他.内視鏡的食道粘膜切除術の切除深度について─犬を用いた実験的検討を中心に.Gastroenterol Endosc 36 : 949-957, 1994
6)三梨桂子,武藤学,大津敦.食道粘膜下層浸潤癌に対する内視鏡的粘膜切除術(EMR)と化学放射線療法(CRT)併用治療の試み. 消化器科 43 : 438-444, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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