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文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻3号

2009年03月発行

文献概要

今月の主題 食道扁平上皮癌に対するESDの適応と実際 主題

食道全周性ESDと予防的拡張術

著者: 井上晴洋1 南ひとみ1 佐藤嘉高1 加賀まこと1 菅谷聡1 工藤進英1

所属機関: 1昭和大学横浜市北部病院消化器センター

ページ範囲:P.394 - P.397

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要旨 全周性ESD後の術後狭窄はほぼ必発であり,一度形成された狭窄を解除することはしばしば困難である.このことが食道における広範囲のESDがためらわれる主因とされ,ガイドライン上もESDの適応は2/3周以下とされてきた.そこで,われわれは術後狭窄が始まる前に拡張を開始して,狭窄をさせない予防的拡張術の概念を導入した.すなわち狭窄を解除するのではなく,“狭窄をさせない"という考え方である.予防的拡張の回数は,個体差があるが,期間はおよそ70~90日程度であり,最長でも3か月を経過すれば拡張の必要はなくなった.広範囲に及ぶ食道粘膜癌に対する食道全周ESDは,手術と比較して,臓器を温存することが可能であり,かつ低侵襲の治療であるという点で有用である.“予防的拡張術"の導入により,食道でのESDは全周性の粘膜癌もその適応になると考えられた.

参考文献

1)日本食道学会(編).食道癌診断・治療ガイドライン,2007年4月版.金原出版,pp 10-13, 2007
2)Hubbard N, Velanovich V. Endoscopic endoluminal radiofrequency ablation of Barrett's esophagus in patients with fundoplications. Surg Endosc 21 : 625-628, 2007
3)井上晴洋,佐藤嘉高,加澤玉恵,他.切開・剥離法の工夫─私はこうしている : 三角ナイフを用いた切開・剥離法.胃と腸 39 : 53-56, 2004
4)Goldstein JA, Barkin JS. Comparison of the diameter consistency and dilating force of the controlled radial expansion balloon catheter to the conventional balloon dilators. Am J Gastroenterol 95 : 3423-3427, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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