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文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻3号

2009年03月発行

文献概要

今月の主題 食道扁平上皮癌に対するESDの適応と実際 主題

食道扁平上皮癌に対するESDの成績―T1a-MM,SM1を中心に

著者: 小山恒男1 北村陽子1 友利彰寿1 堀田欣一1 高橋亜紀子1 宮田佳典1

所属機関: 1佐久総合病院胃腸科

ページ範囲:P.405 - P.416

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要旨 2000年1月から2006年12月までにESDが施行された食道扁平上皮癌158例180病変のうち,深達度T1a-MM 28例とT1b(SM1)12例を症例を対象とした.一括完全切除率はT1a-MM 癌96.4%,T1b(SM1)癌83.3%であった.T1a-MM癌28例中5例(17.9%)にリンパ管侵襲を認め,2例にCRTが追加施行され,他の3例は経過観察された.CRTが施行された2例は無再発,経過観察3例中1例はリンパ節転移が生じたが他病死,他の2例には再発を認めなかった.一方,ly陰性のT1a-MM癌23例にリンパ節再発例はなかった.SM1癌12例中4例(33.3%)にリンパ管侵襲を認め,2例にはCRTが追加施行され,2例は経過観察された.CRTの2例は無再発,経過観察2例中1例は2年5か月後に現病死,他の1例は無再発のまま他病死した.ly陰性SM1癌8例中4例にCRTを施行し,4例は経過観察されたが,この群にリンパ節再発はなかった.T1a-MMやT1b(SM1)の食道SCCに対しても安全にESDを施行することは可能であり,臨床的に転移がない場合はESDによる一括完全切除を施行し,追加治療の要否を判定すべきと思われた.

参考文献

1)日本食道疾患研究会(編).食道癌診断・治療ガイドライン2007年4月版,金原出版,2007
2)小山恒男.Endoscopic Surgery─切開・剥離EMR─Hookナイフを中心に,日本メディカルセンター,2003
3)Oyama T, Tomori A, Hotta K, et al. Endoscopic submucosal dissection on early esophageal cancer. Clin Gastroenterol Hepatol, S67-70, 2005
4)Fujishiro M, Yahagi N, Kakushima N, et al. Endoscopic submucosal dissection of esophageal squamous cell neoplasms. Clin Gastroenterol Hepatol 4 : 688-694, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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