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文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻4号

2009年04月発行

文献概要

特集 早期胃癌2009 主題 1.早期胃癌診断の現状

早期胃癌診断の現状

著者: 細川治1 清水昌毅23 海崎泰治4 宮永太門1 浅海吉傑1 伊部直之5 服部昌和1 道傳研司1 林田有市1 平沼知加志1

所属機関: 1福井県立病院外科 2福井県健康福祉部健康増進課 3厚生労働省健康局地域保健室 4福井県立病院臨床病理科 5福井県立病院消化器内科

ページ範囲:P.455 - P.464

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要旨 届け出精度の高い福井県がん登録でみると,胃癌罹患数に変動はないが,年齢調整罹患率は19年間で2/3まで減少した.早期癌比率が48%に達し,特にM癌比率が2倍となったため,5年相対生存率は15年間に約10%上昇した.県内胃癌患者の1/4を診療している当院の早期癌比率は70%を超え,3,753例に達した.平均年齢は66.4歳に上昇し,症状を呈して診断されたものは半減し,任意型検診発見例が56%に達した.早期癌拾い上げ検査として内視鏡が大半となり, 2000年以降には内視鏡切除が38%に実施された.胃上部癌の比率が3倍となり,陥凹型が増加し,複合型が半減した.M癌比率が増加し,平均癌巣径が小さくなり, 組織型ではtub1が半数を超えた.このように早期癌診断能は向上しているが,生検病理診断を基準として内視鏡観察診断を評価すると,偽陰性率32%,陽性反応適中度52%であり,いまだ満足できる内容ではない.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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