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文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻4号

2009年04月発行

文献概要

特集 早期胃癌2009 主題 3.早期胃癌の病理

1)生検材料の取り扱いと病理診断に際しての留意点

著者: 工藤康之12 原精一13 赤坂治枝14 神寛之14 大橋大成14 佐藤冬樹1 楠美智巳1 福田眞作2 鬼島宏1

所属機関: 1弘前大学大学院医学研究科病理生命科学講座 2弘前大学消化器血液内科学講座 3東邦大学医療センター大森病院消化器内科 4弘前大学大学院医学研究科消化器外科学講座

ページ範囲:P.472 - P.478

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要旨 現在,早期胃癌の治療においてESD(endoscopic submucosal dissection)やEMR(endoscopic mucosal resection)の手技が一般化してきている.それに伴い早期胃癌の内視鏡診断の重要性が増してきている.また生検は癌の診断のほかに,negative biopsyを施行して癌の範囲を確定させることで,ESD, EMRの適応か否かの鑑別の一助となっている.しかし,生検においては時折,標本の取り違いや,標本作製の不備などにより,時としてインシデントやアクシデントが起こりうるという現実がある.そのようなことを起こさないようにするためにも病理診断においては,日頃からの内視鏡医と病理医の連携が大切であり,内視鏡医は病理診断について,病理医は内視鏡診断についての知識が必要である.ここでは,一般的な生検材料の取り扱いから,病理診断までの流れ,生検に際し注意すべきこと,また早期胃癌の診断,治療の際に必要となる生検の基礎的な知識などについて症例を交えながら初歩的なことを中心に簡単に述べることとする.

参考文献

1)井藤久雄.消化管病理組織診断のポイント.日本メディカルセンター,pp 1-24,2001
2)藤盛孝博.消化管の病理学.医学書院,pp 9-15,2004
3)今村哲理,安保智典,黒河聖,他.レジデントのための内視鏡診療マニュアル.「上部消化管」診断.生検組織採取.消内視鏡 18 : 655-659, 2006
4)大橋大成,神寛之,赤坂治枝,他.生検標本の読み方.胆道生検の読み方.G. I. Res 16 : 63-72, 2008
5)日本胃癌学会(編).胃癌取扱い規約,13版.金原出版,1999
6)日本胃癌学会(編).胃癌治療ガイドライン,2版.金原出版,2004
7)福嶋敬宜,二村聡,太田雅弘,他.病理に強い臨床医といわれる.臓器・病変別病理学的アプローチ─胃.福嶋敬宜(編).診療・研究に活かす病理診断学─消化管・肝胆膵編.医学書院,pp 58-79,2004
8)加藤洋.生検の功罪.病理の立場から.消内視鏡 18 : 1815-1827, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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