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文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻4号

2009年04月発行

文献概要

特集 早期胃癌2009 主題 4.早期胃癌の肉眼型─決め方・考え方とその典型像

3)0 IIb型

著者: 米湊健1 渕上忠彦1 川崎啓祐1 小林広幸1 堺勇二1 蔵原晃一1 石橋英樹1 船田摩央1 青見賢明1 松本由華1 大城由美2

所属機関: 1松山赤十字病院胃腸センター 2松山赤十字病院病理部

ページ範囲:P.533 - P.540

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要旨 IIb型早期胃癌はその定義と頻度の低さから臨床的には診断困難な癌とされている. 胃癌取扱い規約では,IIb(表面平坦型)を正常粘膜にみられる凹凸を超えるほどの隆起・陥凹が認められないものと定義し,臨床所見,手術所見,病理所見の3者をそれぞれの時期に判定して,総合所見により記載するものとしている.しかし,どの時期を有意にとって最終的に総合所見とすればよいのかという記載がなく,臨床重視の立場,病理重視の立場,総合的な立場から,それぞれの定義が提唱されており,混乱の原因となっている.提示した2症例ともに通常内視鏡検査が発見の契機となっており,引き続き行った色素内視鏡検査,NBI拡大内視鏡検査で病変が明瞭となっている.臨床の立場からは,X線検査では病変の描出は撮影された二重造影像の質に左右されること,内視鏡切除例が増えていること,固定の方法にも問題があると思われることから,IIb型の肉眼分類は内視鏡検査で判定すると取り決めれば,混乱は少なくなるものと思われる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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