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文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻4号

2009年04月発行

文献概要

特集 早期胃癌2009 主題 4.早期胃癌の肉眼型─決め方・考え方とその典型像

5)表層拡大型

著者: 入口陽介1 小田丈二1 水谷勝1 大野康寛1 高柳聡1 冨野泰弘1 岸大輔1 板橋浩一1 大村秀俊1 篠原知明1 藤崎聡1 山田耕三1 山村彰彦2 中村尚志3 細井董三1

所属機関: 1東京都多摩がん検診センター消化器科 2東京都多摩がん検診センター検査科 3調布外科消化器科内科クリニック

ページ範囲:P.553 - P.562

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要旨 過去19年間に,当センターで経験した表層拡大型早期胃癌69例を対象として,臨床病理組織学的特徴について検討した.男性37例,女性32例,平均年齢64.2歳,平均腫瘍長径8.8cm,占居部位は,M領域44例,小彎41例に最も多かった.肉眼型は,陥凹型49例,隆起型20例で,0 IIb進展を31例(44.9%)に認め,境界診断が病変の口側小彎で困難な症例が多かった.組織型は,混在型40例,分化型17例,未分化型12例の順に多く,SM浸潤率は44.9%で,リンパ節転移を20.3%(14例)と高率に認めたが,そのうち混在型が13例を占めていた.混在型のSM癌についてみると,68.4%にリンパ節転移を認めていた.以上より,表層拡大型早期胃癌は,占居部位ではM領域,小彎を中心に発育するものが多く.小彎口側の境界診断が困難な特徴を有する.組織型では混在型が多く,そのうちのSM癌は,高率にリンパ節転移を来すため,治療法選択において十分に注意する必要がある.

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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