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文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻4号

2009年04月発行

文献概要

特集 早期胃癌2009 主題 5.早期胃癌の画像診断 2)深達度診断のための精密検査

(1)X線検査

著者: 杉野吉則1 中村祐二朗2 和田則仁3 才川義朗3 北川雄光3 日比紀文4 今枝博之5 向井萬起男6

所属機関: 1慶應義塾大学医学部放射診断科〔慶應義塾大学病院予防医療センター(仮称)開設準備室〕 2慶應義塾大学病院中央放射線技術室 3慶應義塾大学医学部一般消化器外科 4慶應義塾大学医学部消化器内科 5慶應義塾大学病院内視鏡センター 6慶應義塾大学医学部病理診断部

ページ範囲:P.593 - P.607

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要旨 過去3年間に慶應義塾大学病院で外科的あるいは内視鏡的に切除された胃癌症例508例554病変〔M癌243病変,SM癌162病変(SM1 43病変,SM2 119病変),MP以深癌149病変〕のX線による深達度診断を検討した.それぞれの正診率はM 91.3%,SM 79.3%,MP以深 89.9%で,術前にSM1とX線的に診断した症例はなかった.早期胃癌の8割を占める陥凹型のSM以深への浸潤は,胃壁の肥厚,伸展不良および壁硬化が参考になった.X線でこれらの所見を表わす方法として,二重造影法では病変部における造影剤の厚さを変えることによって肥厚部の厚さや輪郭を表わすと同時に,肥厚部の表面や辺縁の性状を描出して,その肥厚が粘膜の増殖によるものか粘膜下の肥厚かを鑑別すること,圧迫法では圧迫の強さを変えることによって,肥厚部の性状とともに硬さを知ることが正確な診断につながると考えられた.X線で深達度診断を的確に行うためには,二重造影法および圧迫法を駆使するとともに,どのような所見を表わすかという目的意識を持って検査にのぞむことが重要と思われた.

参考文献

1)中村恭一.陥凹型早期胃癌の粘膜下組織浸潤の肉眼所見.胃と腸 17 : 219-221, 1982
2)馬場保昌.胃癌の深達度診断─胃癌のX線深達度診断の指標.「胃と腸」編集委員会(編).胃と腸ハンドブック.医学書院,pp 154-165, 1992
3)江頭秀人,馬場保昌,牟田仁彦,他.胃癌の深達度診断─X線像による深達度診断の指標.胃と腸 36 : 321-333, 2001
4)中原慶太,鶴田修,立石秀夫,他.陥凹型胃癌に対するX線深達度診断プロセス.胃と腸 41 : 1327-1343, 2006
5)中原慶太,鶴田修,立石秀夫,他.胃分化型SM1癌(垂直浸潤500μm未満)の診断─500μm以上と対比して : ひだ集中のない陥凹型胃癌に対するX線診断.胃と腸 42 : 25-38, 2007
6)長浜孝,田邉寛,高木靖寛,他.胃分化型SM1癌(垂直浸潤500μm未満)の診断─500μm以上と対比して : ひだ集中を有する陥凹型胃癌におけるX線の深達度診断能 : Ul合併例の限界.胃と腸 42 : 47-59, 2007
7)長南明道,望月福治,池田卓,他.早期胃癌治療のための精密検査─深達度を読む.胃と腸 28 : 57-71, 1993
8)安保智典,萩原武,西岡均,他.胃分化型SM1癌(垂直浸潤500μm未満)の診断─500μm以上と対比して : 隆起型早期胃癌におけるX線・内視鏡診断.胃と腸 42 : 69-78, 2007
9)熊倉賢二, 杉野吉則, 馬場保昌.胃X線診断学─検査編.金原出版,1992
10)杉野吉則.消化管造影・内視鏡観察のコツ─十分に所見が捉えられた美しい画像を提示するために : 消化管造影のコツ,上部消化管造影の撮影装置と造影剤.胃と腸 38 : 929-932, 2003
11)杉野吉則,鈴木和代,大須賀香絵,他.新しい画像検査・診断法と今後の展開─胃X線検査における平面検出器(FPD)を搭載したCアーム式装置の有用性.胃と腸 39 : 1572-1582, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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