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文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻4号

2009年04月発行

文献概要

特集 早期胃癌2009 主題 5.早期胃癌の画像診断 2)深達度診断のための精密検査

(2)内視鏡検査

著者: 藤崎順子1 吉本和仁1 平澤俊明1 山本頼正1 石山晃世志1 土田知宏1 星野惠津夫1 高橋寛1 五十嵐正広1

所属機関: 1癌研有明病院内視鏡診療部

ページ範囲:P.608 - P.622

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要旨 通常内視鏡検査における深達度診断はインジゴカルミンによる色素内視鏡を併用し,肉眼型,病変の大きさ,表面性状,辺縁の性状,癌の厚みについて観察して診断する.胃内の空気量を変化させることも正診率を上げることに有用である.隆起型では病変の大きさが重要な因子である.切除標本からの検討ではI型では20mm以下で約70%がM癌,30mm以下では半数がSM癌であった.また有茎性のものはM癌である.IIa型では20mm以下では85%がM癌であるが,51mm以上では半数がSM癌であり,ESDを適応拡大していくうえで重要である.IIa+IIc型では20mm以下でもSM癌率が高く,未分化型では91%がSM癌であった.IIc型では20mm以上では組織型にかかわらず,M,SM癌率は同等で,表面性状,辺縁の変化などを観察し,診断していく必要がある.IIc型でUL(-)では,SM癌の特徴として,陥凹が深く,陥凹内粗大隆起,台地状隆起,粘膜下膨隆が挙げられる.陥凹内隆起は再生結節,取り残し粘膜などの所見と鑑別する必要がある.IIc型でUL(+)ではひだの癒合,太まりがSM癌の重要な所見である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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