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文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻4号

2009年04月発行

文献概要

特集 早期胃癌2009 主題 5.早期胃癌の画像診断 3)範囲診断のための精密検査

(2)通常内視鏡検査

著者: 吉永繁高1 後藤田卓志1 小田一郎1 斎藤豊1 松田尚久1 中島健1 桐山真典1 草野央1 鈴木晴久1 平島哲朗1 谷口浩和2 下田忠和2

所属機関: 1国立がんセンター中央病院内視鏡部 2国立がんセンター臨床検査部病理

ページ範囲:P.650 - P.662

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要旨 当院における通常内視鏡,およびインジゴカルミンを用いた色素撒布後の内視鏡による早期胃癌の範囲診断能,および診断を困難にさせる因子について検討した.全385病変を検討し,通常内視鏡で境界明瞭と判断したものは72.2%,色素撒布後の内視鏡では92.2%であった.最終的に正確な範囲診断が可能であったものは78.4%で,その範囲診断を誤らせる因子として“病変長径31mm以上”,“主な組織型が未分化型”,“粘膜表層に分化型優位の混在あり”,“潰瘍瘢痕あり”,“0 IIb成分あり”が統計学的に有意であった.このような病変に対しては通常内視鏡だけでは限界がありAIMやNBIなどを活用した確実な範囲診断が不可欠であると考える.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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